ビジネスクリエイションにおけるアドエージェンシーの強みと弱み
先ほどアドエージェンシーのアイデアは良くも悪くもアドエージェンシーらしく見えると書きましたが、それはこれらの要因が大きく影響しているのかもしれません。そして同時にそれが、ビジネスアイデアに瞬間的・刹那的なスパークのような読後感を残してしまう理由でもあると思うのです。
前回の記事でも書きましたが、SXSWのアクセラレーターピッチでは5つの評価軸で審査が行われます。
このうちCreativity of Ideaという指標では、僕は率直にエージェンシーの発想力・着眼点は優れたスタートアップをも凌ぐ力があると感じました。その反面、ビジネスクリエイションの世界ではビジネスの奥行き・広がりという意味でのBusiness Potentialが非常に重視されます。そしてその視点で見たときに、我々エージェンシーにはまだまだ超えなければならない壁があるのかもしれません。
我々が培ってきたクリエイティビティは、広告という領域を超えてもっともっと汎用的なものへと拡張できるはずです。今回の視察を通して、その思いはより強い確信に変わりました。
しかしその一方で、本当の意味で革新的なビジネスアイデアをクリエイトするためには、無意識のレベルで脳とカラダに染み付いているアドエージェンシーならではの「癖」を拭い去る必要があることを、一人のアドマンとして自戒の念もこめて痛感しました。
アドエージェンシーにとっての光と影、その両面を肌で感じることができたということだけでも、今回SXSWに参加した価値は十分にあったと思います。