初めまして、鎌田慎也と申します。
アメリカ西海岸、シアトルとロスアンゼルスの間に位置するポートランドというお世辞にも大きくない街にある、クリエイティブエージェンシー、Wieden+Kennedy (以後、W+K) で働いています。東京からこちらに移って、かれこれ2年半くらいが経ちました。
とはいえこの来週から始まるコラムの原稿を、いまサンフランシスコで書いています。タイトルが「ポートランドから、好き勝手に綴る、リアルコラム。」なのに、 早速序盤からそのコンセプトを挫かれています。CMの撮影できているのですが、今月末にローンチするので(スケジュール追い込まれています、辛いです)、次号のコラムには完成したCMをお見せできているかもしれません。
さて、歴代のアドタイコラムニストの先輩方とは勝手が違うので、まず「おまえは誰だ」というところから始めさせていただければと思います。
2011年に大学院を卒業後、W+K Tokyo に入りました。
この会社は新卒を採用しているわけではないので、大学院時代は私もリクルートスーツに身を包み、就職活動をしていました。博報堂の内定式にも出て(バズマシーンで有名な栗林くんが同期です)会社推奨の銀行口座も作りかけていましたが、その頃ちょうどインターンを経てフリーランスとして仕事をしていたW+K Tokyoからのオファーがあったので、(多くの先輩方からの助言に反して)赤坂ではなく*乃木坂で働くことを選びました。当時は博報堂の人事の方々にはご迷惑をかけたので、この場を借りて改めてお詫びします。ごめんなさい。
*注釈: W+K Tokyoは2012年まで乃木坂にありました。当時のお引っ越しサイト
東京では、近頃なにかと社会問題になっている残業時間のその倍以上働いた月も度々あった気がしますが、体力勝負の青い時代をなんとか生き延びました。入社当時は英語の長いメールを読むのも億劫だった私なので、Portlandオフィスからのオファーは半信半疑でしたが、2014年の秋にポートランドに移り、以来Nike Global を担当しています。
東京から船便で送った貨物が西海岸港のストライキで3カ月届かなかったり、eBay詐欺にあったり、Amazon Primeでないと1週間以上配送にかかったり、洗濯機が突然壊れ洗面所が水たまり状態になったり、小さなアメリカらしいハプニングの数々は、いかに日本の物流・サービス・プロダクトのクオリティーが世界の“non-standard”だということを私に教えてくれています。
さて話を仕事関連に戻すと、W+KではPortlandに限らず、採用ではその職種のチームや上司ら10人前後と面接した上で「Yes or No」を判断します。つまり入社する時にはすでに、チームのほとんどのメンバーと話したことがあり、顔と名前が一致しています。これはとても理にかなっているなと思います。
ただ私は運が良いのか悪いのか、大学院時代にTokyoオフィスのインターンの面接(しかも日本語で2人だけ)しかやったことなくここまで来てしまっている 、言ってしまえば “モグリ” なので、Portlandオフィス初日は「あいつは誰だ」状態だったのは想像に容易いと思います。
そんな転校生同然のスタートがありつつも、’L’と’R’の発音がおかしい日本人として、酒の付き合いがいい奴として、(ポートランド名物)ストリップクラブが好きな野郎として仲間に入れてもらい、 七転び八起きな日々を太平洋の向こう側で過ごしています。
タイトルの通りこちらでの仕事・生活を通して感じたこと、思うことを、東京(日本)との比較を交えながら好き勝手に綴っていこうと思うので、 よろしければお付き合いください。
最後に一応ちゃんと仕事もしているということを証明するために、こちらで携わった仕事のいくつかをここにご紹介させていただいて、第1話を締めたいと思います。
Nike Football: “The Switch” ft. Cristiano Ronaldo, Harry Kane, Anthony Martial & More
スペイン・イギリスで3カ月半に及ぶ長丁場のロケでした。クリスチャーノ・ロナウドの個人マネージャーは“整形”美人でした。
Nike: “Short A Guy” ft. Mike Trout, Andrew Luck, Anthony Davis & More
史上初めて日本語を使ったグローバル企画の ‘Just Do It.’ CMだと思います。
Nike Short A Guy from Shinya Kamata on Vimeo.
Nike: “Unlimited Greatness” ft. Serena Williams
US Openに合わせてNew Yorkをジャックして、賛否両論を巻き起こしたキャンペーンでした。