「今から僕たち迷います」 雑誌『広告』木原龍太郎 編集長が語るリニューアルの狙い

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博報堂 統合プラニング局 シニアPRディレクター 兼 雑誌「広告」編集長 木原 龍太郎氏
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時代の変化に対応し、変革を続ける広告業界。革新への熱狂と専門知識を武器に、従来の広告の枠を超えて、仕事に挑む人がいます。そんな広告の世界を拡張させる博報堂社員の仕事術と本音に、宣伝会議「アドタイ」編集部が迫る「熱熱トーク」。
記念すべき第一回は、雑誌『広告』編集長に2017年1月に就任した木原龍太郎氏です。リニューアルした雑誌のコンセプトは「迷走」、そして「江戸町人の心を動かせるのか」「広告会社の役割はエネルギー」「世界一不親切なメディアを目指す」と語る、木原氏に迫ります。

「好き」の気持ちと「熱狂」は、新しい価値を生む

――今年、1月に刊行になった『広告』から木原さんが編集人になりました。「野生の直感を大切にするアナログ発想マガジン」というコンセプトを掲げ、明らかにこれまでとはだいぶテイストの違う第1号ができあがりましたね。

なんで『広告』がリニューアルして、こうなっちゃったのかと言いますと、実は真面目な理由があるんです。会社に行く電車の中で周囲を見渡せば、ほとんどの人が下を向いてスマホの画面ばかり見ている。昔は本を読んだり、新聞を読んだり、中吊りを見たりという光景があったのに、ここ15年くらいで状況が一変してしまいました。会社に来てみれば、若い社員はわからないことがあれば、すぐに検索して答えを見つけようとする。

何か、皆がやたらにすぐに答えを見つけようとする風潮に違和感を抱いていたんです。なので「『広告』の編集人をやってみろ」と言われた時、あえて正解を提示しない雑誌にしようと考えました。1号目の表紙に、「全力迷走の世界」というコピーを入れたのは、僕たち編集部の宣言です。「今から僕たち迷います」というスタンス表明なんです。

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雑誌『広告』2017 冬 2月号。木原編集長が手掛けたリニューアル第一号。

迷走は感情のジェットコースターを生み出す

――“迷走”というコンセプトは、どこから生まれたんですか。日頃のお仕事と何か関係していますか。

今は統合プラニング局で仕事をしていますが、博報堂でのキャリアの多くをPR局で過ごしてきました。PRの仕事をしている時に気づいたのは、多くの人が巻き込まれて話題が盛り上がるのは、いろんな憶測が飛び交う時。結論が分からない世界、五里霧中でミステリアスな世界に人は興味を喚起されるのではないかということでした。

あえて“言い当てない”方が、良い。答えがわからなくて、迷走している時、人の心は大きく揺れ動きます。そして迷走が生み出す、喜怒哀楽のジェットコースターこそ最終的に共感を生むのではないかと考えているんです。そして僕は文脈と言うか、この喜怒哀楽のストーリーをつくるのが好きなのだと思います。

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このストーリーづくりは、今やっている統合プラニングという仕事の中核でもあります。人の感情を揺さぶるストーリーをつくることこそ、真の意味でのインテグレーションなんじゃないか、と。通常の僕の辞書にはない言葉ですが、取材なので今日はちょっとカッコつけて、新しいボキャブラリーを披露してみましたけど(笑)。

――マーケティングの世界は、デジタルやデータの活用が進んでいますが、木原さんはこういう潮流をどう思っているのですか。

デジタルもデータもマーケティング活動の精度を高める上では、とても大切だと思います。でも、過去の行動を分析して、背後から追いかけてきて「今、あなたこれが欲しいと思いましたよね!」みたいに話しかけられるようなコミュニケーションだけの世界はつまらない。デジタルやデータを活用した世界だけでなく、待ち構えていて真正面からいきなりびっくりさせるようなコミュニケーションも必要だな、と。予想通りの展開だけだと、人の感情は動かないですから。

…続きは博報堂サイトでご覧ください。「その企画は、江戸町人の心も動かせるのか?」「記憶に残る大失敗は人生の財産だ」「世界一不親切なメディアを目指す」など、さらに木原編集長が語ります。

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