音場を自在にコントロールできる「HOLOPLOT」
次に紹介するのは、音場を自在にコントロールできるスピーカー「HOLOPLOT」です。
HOLOPLOTには多数の小さなスピーカーが搭載されており、このスピーカー同士の干渉をコントロールすることで、「音場」をつくり出すことができます。この「音場」をコントロールすることで、音に指向性を持たせ、100メートル先までほとんど減衰させずに音を届けたり、エリアによって異なる音声を届けることができます。
展示会場では、実際にこのスピーカーを体験することができ、スピーカーの前方だけで音楽が聴こえるデモや、聴く場所によって英語音声とドイツ語音声が切り替わるデモが行われていました。
例えば、街中で狙った人だけに音声を届けるOOHや、背丈の違う子どもと大人で違った音声が聴こえるコンテンツなど、いろいろな可能性を感じるプロダクトでした。
多様化を続ける3-DIYキット
インタラクティブ・イノベーション・アワードの「Innovative 3-DIY」部門には、さまざまな3Dプリンターが展示されていました。
炭素繊維を出力できる3Dプリンター「Onyx One 3D Printer」は、軽くて強度の高い炭素繊維を用いることで、ドローンの機体や工具などを作成することができます。展示会場ではドローンの機体の他に、炭素繊維でできたスパナが展示されており、実際に手にとってその軽さと強度の高さを体験することができました。
組み立て式のオープンソース3Dプリンター「Prusa i3」は、プラスチックだけでなく金属や木材など非常に多様な素材のフィラメントで出力をすることができます。会場には12種類の素材で出力された恵比寿像が展示されており、実際に手にとってその質感の違いを感じることができました。
そんな中で目を引いたのが、フリーハンドで手書き感覚で出力できるペン型の3Dプリンター「3Doodler」です。もはや「3Dプリンター」と呼んでいいのか悩んでしまうこのプロダクト、実はSXSWeduでも教育ツールとして展示されていました。
図工や美術の授業で、子どもたちのクリエイティビティを育てるための教材として使うことができます。また、新製品の「3Doodler Pro」ではフィラメントの種類が増え、木材や金属質感のフィラメントを出力できるようになっています。
展示会場には3Doodlerで作成されたエッフェル塔やメガネ、家の模型など、さまざまな作品が展示されていましたが、中でも度肝を抜かれたのが、「実際に着ることができるジャケット」。この作品の制作には10時間以上を費やしたそうです。SXSWに集まるスタートアップ開発者の恐るべきクリエイティビティを垣間見た瞬間でした。