消費者の心に響くのはオンラインに閉じない施策
第一部には、HPのNancy Janes氏が登壇。デジタル印刷を効果的に活用して高い収益性を実現した海外企業の事例を多数紹介した。
製品パッケージは、今や消費者とブランドをつなぐ媒体の役割も担っている。北米の飲料メーカーは、数千万ものパターンをソフトウェアにより自動生成し、デジタル印刷によって作られた飲料缶を音楽フェス会場で販売した。唯一無二のパッケージは、ミレニアル世代を中心にソーシャル上で話題になり、各種SNSで記録的な数の反響を獲得。キャンペーンの狙いだったミレニアル世代のエンゲージメント向上に成功した。
また、データ連携を施してデジタル印刷を活用した事例もある。例えばベルギーのアパレルメーカーは、顧客15万人の属性や購買履歴をもとに、それぞれの顧客に合ったパーソナライズマガジンを印刷・発送した。購入金額の増加や離反顧客の再帰など含め、145%の投資リターンを達成したという。
第二部では、パッケージを軸に顧客体験を高め、かつ売上にも貢献した国内事例として、日本コカ・コーラ 大澤央人氏が、リオ五輪期間に展開したスポーツに関する言葉を入れた「コカ・コーラ」サマーキャンペーンの“ゴールドボトル”の導入背景と効果を紹介。
「『金メダル一号』のニュースが流れ、それがボトルとなってサンプリングするとソーシャル上でも拡散された。今までになかったリアルタイム性が、サンプリングの効果を高めていると実感した。また、ネームボトルでは自分や友だちの名前を探すというきっかけで新たに手に取ってもらえ、売上も大幅にプラスになった」と話した。
続いてソニービデオ&サウンドプロダクツ 渡辺知宜氏は、さまざまなキャラクターとのコラボレーションを実現した商品のパッケージ制作の事例を紹介。「コラボレーションモデルの重要性は、年々増してきている」とパッケージがコラボレーションモデルの商品力向上に貢献している手応えを語った。
第三部には、日本郵便の鈴木睦夫氏と、グーフの岡本幸憲氏が登壇。オンラインとオフライン双方のマーケティングに精通する二人が、オンラインとオフラインを統合したマーケティングの効果と実施のポイントを語った。
鈴木氏はオンラインを偏重しすぎるマーケティング施策の問題点を指摘し、オンラインとDMを組み合わせて効果を高めた事例を紹介した。
さらに岡本氏はデータドリブンでデジタル印刷を活用した国内外の事例を紹介。「従来DMが抱えていたスピードやコストの問題は、MAと印刷テクノロジーを連携させれば解決できる。オフラインマーケティングの可能性はますます広がるだろう」と述べた。
終わりに鈴木氏は、「手法がオンラインでもオフラインでも、マーケティングはデータドリブンであることが大事。技術がいくら発達しても自らデータを活用した経験がなければ何もできない。経験すれば知見は貯まるので、失敗を恐れず新しい取り組みに挑戦してほしい」と参加者にメッセージを送った。
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