柔道の指導者として、篠原さんが怒るときはどんなとき?
篠原:はい、反面教師としてね。篠原のやり方はダメだなと(笑)。
中村:篠原さんのときはやっぱり檄を飛ばしてたんでしょう?
篠原:飛ばしてましたね。基本的にはコーチに頼むよと任せてたんですけど、中にはセンスがあって、強いのに練習に本気で取り組まない選手も何人かいて。そういう選手に対して、腹が立ってましたね。というのは、自分みたいにセンスのない者が・・・。
澤本:えっ。
篠原:本当にセンスなかったんですよ。体格は人より良かったですけど、センスはなくて、これだけ世界チャンピオンにもなってオリンピックも出て、決勝までいけたのにそれだけセンスがあればヤル気だしたら、お前らなんてすぐに世界チャンピオンになれるだろうという選手が真剣に取り組まない姿を見ると、もったいないと。だったら辞めてまえ!みたいな感じでしたね。
澤本:そういう人ってやっぱりいるんですか?
篠原:中には意識がという選手はいましたけど、私がもっと勉強して、うまく選手と話ができて、選手の気持ちが盛り上がるように説明できればよかったと思います。
権八:不思議ですよね。全日本に来るレベルの人でも、そういうちょっと真剣じゃない人がいるというのが。
篠原:真剣じゃないわけではないんですけど、練習時間なんて決められてるじゃないですか。その時間ぐらいは全力を出し切れよと思うんです。まだまだ余力残ってるだろと。その代わり、練習時間が終われば飲みに行こうが、遊びに行こうが私は何も言わなかったので。ただ、次の日の朝練からしっかり走れよと。
権八:今の篠原さんみたいなキャラクターで、その頃は練習が終わった後にみんなで楽しく飲みに行こうぜ、みたいな感じではなかったんですか?
篠原:いえ、やってましたよ。1週間の合宿であれば、代表クラスだったら焼肉食べに行って、どうせお前らこの後に選手だけで飲みに行くだろと。行きます、じゃあ行ってこいと。その代わり、問題起こすなよ、次の日の朝トレーニング寝坊するなよ、しっかりそのへんはわかったうえで行くんだったら構へんぞと送り出してたので。自分らもそういう風にやって来てたので構わないけど、楽しいことしたぶん、朝練はしんどいんですよ。でも、ちゃんとやれと。そういう感じで良い監督だったと思うんですけど、結果が出なかったので。
中村:これは深夜ラジオなので、多少はここだけの話ということで、正直ブチ切れて怒ると、どういう感じで怒るんですか?
篠原:いやいや、篠原がイメージ的によく怒ってると、当時はあったんですが、自分は試合に負けて怒ったことないんですよ。負け方で怒ってるんですよ。たとえば、ポイントを取っていて、残り30秒で守って負けたりすると、何守ってんねん!となるわけですよ。攻めんかいと。そういう負け方をする選手には怒ってました。ところが勝っていて、最後の1秒まで攻めにいって返される、すかされた選手に対しては怒ったことがないんです。
澤本:攻めたということで。
篠原:攻めて返されたり、すかされたりするぶんには構へんと。ただ、内心思いますよ。決勝戦なんかでそういう負け方をすると、構へんぞ、攻めた姿勢がよかったぞ、絶対それは次に繋がると選手に言いますけど、内心ではなんで守っておかないんだよ!と。
一同:(笑)
篠原:なんで残り10秒ぐらいじっとしておかないんだと。それは思いますよ。
中村:まぁね、監督としてはね(笑)。
篠原:何、余計な技かけとんねんと(笑)。思いますけど、普段から最後まで1本を取りに行けという指導をしてる手前、それは構へんと言います。
澤本:また話は違うんですけど、世界大会があるじゃないですか。いつも柔道を見ていて思うのは、外国の方と組むと、たまにワキガで臭いとか。外国の方とやるときに嫌だった相手や思い出はありますか?
篠原:基本的に試合のときにはそんなに気にしてる場合じゃないですね。逆に海外の合宿に行くと、洗濯がなかなかできないときがあるんですよ。日本人選手だと、道着を3枚、4枚持っていくんで、1回着て、洗ってとするんですけど、国によっては道着2枚しかないのを1週間使い回ししたり。洗うと間に合わないから、2日、3日着てる選手もいるんですよ。そういう選手は匂いもそうですが、道着を握るとグチョットなるんですよ。
一同:(笑)
篠原:手に臭いがつくんですよ。うわーっとなって、終わってからすぐ石鹸で洗いますけど。
中村:色々な選手と対戦されて、この選手はすごかった、記憶に残っているという対戦相手はいますか?