「自分らしさ」への欲求にリアルタイムに応えるには?
第三部:パネルディスカッション「共感の瞬間をつくる」
講演者:パナソニック株式会社コンシューマー マーケティングジャパン本部
コミュニケーション部部長 楳谷秀喜氏
リクルートマーケティングパートナーズ ネットビジネス本部 執行役員 櫻井康平氏
インテージ ビジネスプラットフォーム本部 マーケティング部 部長 三浦 ふみ氏
第三部はパナソニックの楳谷秀喜氏とリクルートマーケティングパートナーズの櫻井康平氏、インテージの三浦ふみ氏によるパネルディスカッションが行われた。
「ふだんプレミアム」キャンペーンにおける、ユーザーインサイトの抽出法について聞かれた楳谷氏は、次のように答えた。
「有識者インタビューを行い、ターゲットの定性調査も実施しました。そこで浮かび上がってきたのが“本物感”や“自分らしさ”といったキーワード。これらを動画にどうやって取り込むかを考えたことが、インサイトの発見につながっています」。
パナソニックでは毎年、社内外から上がってくるお客さま情報が膨大な数にのぼる。それらを社内イントラネットで共有し、検索と参照できるようになったことでユーザーの声が拾いやすくなった。
また、パナソニックは900万人の会員を抱える日本最大級のコミュニティサイト「クラブパナソニック」を運用している。その活用についても尋ねられた。
「家電業界は購入したお客さまの個人情報がわかることが少ないため、クラブパナソニックで登録いただくお客さま情報に価値を感じています。また、リアルイベントや商品の貸し出しなどで、直接声を聞くこともあります」。
続いて、「モーメントの捉え方」について尋ねられた櫻井氏は、次のように話した。
「例えばグループインタビューの参加者の意見は、場の雰囲気を気にしてしまい必ずバイアスがかかっています。そこで『ゼクシィネット』では、実態を捉えるにオンラインでのリアルタイムの行動観察へといたったのです」。
それに対して、三浦氏は「インテージでは、調査時のバイアス対策として、シングルソースパネルを利用している」と話し、そうした実態から見えてきた情報接触構造を、カスタマージャーニーづくりの参考資料として活用しているという。
さらに、モーメントの捉えるためには、様々な調査手法がある。どうすれば効果的な調査ができるのか、と尋ねられた櫻井氏が次のように述べた。
「調査手法には様々な手法があるが、大事なのはあくまでも何が知りたいか。それぞれの手法の特性を見極めて、欲しいデータのためには他の要素は諦めて絞り込む、といった決断も必要になります。また、旗振り役が一次情報に向き合う必要もあるでしょう。編集された情報であればマーケターが読み解くコストがかからないが、その分見落としてしまっている情報が絶対にあります」。
本日の話も受けて、三浦氏はブランドが消費者との絆をつくるうえで「感動体験」と「課題解決」が重要になると指摘。ゼクシィは伴走者として、パナソニックはふだんプレミアムへのスイッチで、消費者がより自分に寄り添ってくれているブランドだと感じたと分析する。
「従来、消費者がものを買う理由として挙げられたのは“自分向きである”ことや“ブランドの信頼性”といった基本的な価値でした。それが現在では、企業と生活者が共にものづくりをする『共創感』がパワーを持ち始めている。だからこそ、今後は消費者と企業との距離の縮め方、共感のされ方について考えることが重要だと思います」。
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