編集者・ライターがフリーランスになるための下準備

『編集会議』最新号では、編集者・ライターの「働き方改革」を大特集。メディアにおける「働き方改革」は可能なのか――。メディア業界では、自身の働き方について考えた結果、フリーランスになるという選択をする人が少なくない。実際に誰もが一度は「もしフリーランスになったら……」という想像をしたことがあるはずだ。その「もし」を現実化させるためには、どのような準備が必要なのか。紙・ネットと数々のメディアを渡り歩いてきたフリーランスの亀松太郎氏に聞いた。

ジャーナリスト
亀松太郎 氏

新聞社や法律事務所などを経て、ネットメディアの世界へ。J-CASTニュース副編集長、ニコニコニュース編集長を経験後、フリー転身。弁護士ドットコムニュース編集長(現在は顧問)の傍ら、Yahoo!ニュースやBLOGOSなどで記事を執筆。

2012年12月、ニコニコ動画の運営会社として知られるドワンゴを退社し、フリーランスとしての道を歩み始めました。1995年に大学を出て新聞社に就職して以来、何度か転職したものの、大半はサラリーマンとして過ごしてきました。フリー転身は、未知の世界への挑戦でした。

それまでの僕は、目の前の面白そうな仕事をやってみるという感じで転職を繰り返してきた人間です。フリーランスになるために入念に準備してきたかというと、決してそんなことはありません。

にもかかわらず、フリーランスになって5年目のいまも、ありがたいことに、自分が面白いと思える仕事をしながら、なんとか食べていくことができています。なぜか。

振り返ってみると、サラリーマン時代に無意識にやっていたことが、「フリーランスとしての自分」に役立っていることに気づかされます。知らず知らずのうちに「フリーランスとして食べていくための下準備」をしてきたようなのです。ここでは、そのいくつかを紹介したいと思います。

「専門性」を身につける

フリーランスとしてちゃんと稼いでいくために必要な要素はなにか–。いろいろあるでしょうが、一番重要なのは「専門性」だと考えています。別の言葉で言えば「独自性」です。

たとえば、編集者やライターの場合、名の知れた新聞社や出版社で働いていた経験がある、というだけでは弱いのです。他の編集者やライターがマネのできない専門性があるかどうかが、フリーランスとして成功できるかどうかの鍵を握っています。

僕の場合、好奇心のおもむくままに、新聞記者、Webディレクター、法律事務所リサーチャー、ネットメディア編集者と、さまざまな仕事を経験してきましたが、2006年以降は一貫して「新しいネットメディアの創設・育成」に関わり続けています。

言うなれば、ネットメディアの「育成請負人」として、J-CASTニュース、ニコニコニュース、弁護士ドットコムニュースという新興ネットメディアの編集体制を整備し、運営方針を確立して、軌道に乗ったら次の仕事に移るということを繰り返してきました。

弁護士/法律ポータルサイト「弁護士ドットコム」のニュース部門で、フリーランスながら編集長を務め、メディアの基盤の確立を担った。

いまも別の新しいネットメディアの育成に関わっていますが、このようなキャリアを歩んでいる人は珍しいため、自然と「独自性」を打ち出すことができています。

「(会社員として)まずは、名物社員を目指せ!」と提唱する同書。その神髄は専門性を磨くことにあるという。

専門性・独自性があれば、立場が弱くなりがちなフリーランスでも、クライアントと対等に交渉することができ、自分を安売りしなくても良くなります。その結果、フリーランスとして「食べていく」ことができるようになるのです。

そして、専門性を磨くことは、会社員であっても十分に可能です。フリーのマーケティングコンサルタントである中山マコトさんは、著書『フリーで働く!と決めたら読む本』のなかで「まずは、名物社員を目指せ!」とアドバイスしています。まさにその通りだと思います。

……②「法律」の知識を学んでおく、③「転職エージェント」に登録してみるなど、続きは『編集会議』2017年春号「メディア×働き方改革」特集をご覧ください。

 

『編集会議』2017年春号は「記事論」「メディア×働き方」を総力特集
 

◇ヨッピーが語る「“編集”の価値とはなんぞや」
◇改めて知りたい「ネイティブ広告ハンドブック」
 

【特集】その記事は“売りモノ”になるか――記事で問われるメディアの真価
◇LINE 田端信太郎が語るメディア論――『MEDIA MAKERS』から5年後
◇フローレンス駒崎弘樹「その記事に“意志”はあるか」――記事が社会を動かす
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◇『クーリエ・ジャポン』編集者が語る「米国メディア・ビジネスの最前線」
◇発行累計6000万部の編集者が解説「面白い→売れる」に転換する編集術
 

【特集】編集者・ライターの「働き方改革」――メディア現場の「生産性」
◇「ユニクロ潜入一年」ジャーナリストに聞く「メディア人の働き方改革」
◇100人に独自調査、編集者・ライターの「働き方」と「生産性」の課題
◇“午後6時に帰る編集部”、古田大輔編集長「BuzzFeed流・働き方改革」
◇「もしフリーになったら…」を考える、フリーランスになるための下準備
◇超実践・生産性向上術「アイデア」「書くスピード」「ガジェット」編

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