2. VRの成長は世の中の期待に応えることはできるのだろうか?(CAN VR GROWTH MATCH THE HYPE?)
<要点>※SXSW公式サイト 本文引用
「本末転倒にはなっていないだろうか?VRのテクノロジーとハードウェアの発展は急速に進んでいるが、VR機器が一般的な消費者の手の届くところにない状況で、望まれているようなキラーアプリあるいはエコシステムの変革が生まれるだろうか?」
Program Directorのチームの言うことはよくわかる。VRやVRのストーリーテリングに関するセッションは、GoogleのJessica Brillhart氏による「Virtual Crossroads: A Look at VR and Human Behavior(バーチャルの交差点:VRと人間の行動を見る)」、Within・RVLVR・MediaMonksらによる「How Can We Make 360 Video Actually Compelling?(360度ビデオを実際にどうやって魅力的にするのか?)」、Oculus Story Studioによる「The Creator’s Handbook for VR & 360 Storytelling(クリエイターのためのVRと360度ストーリーテリングのハンドブック)」、「Five Use-Cases Defining VR and Mixed Reality(VRと複合現実を定義する5つのユースケース)」など、数多くの魅力的なセッションがあったが、それらが今後世の中でどう流通し得るのかについて、現実的なシナリオ変更を示したセッションは数少ない。
セッションにおいては顕著な革新が見られなかった一方で、私たちもお手伝いさせていただいた、ソニーの「The WOW Factory」の展示においては、新しい感覚や感情を体験できる実験プロジェクトが、来場者の話題をさらった。
中でも、半球のドーム型の空間の中でソファに座りながらインタラクションする「Music Visualizer & Cyber Gym」や、他人の視界を支配しながら遊ぶ「Superception :視覚交換鬼ごっこ」など、多くの開発段階のプロジェクトがお披露目された。これは、テストマーケティングとしても意義深い場となったのではないだろうか。
そうした中、NTTの研究所は、「JAPAN FACTORY」において、HMDを必要としないNTTのイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!®」および高速ネットワーク技術を用いた、世界初のグローバル・インタラクティブ遠隔ライブパフォーマンス「CYBER TELEPORTATION TOKYO at SXSW」を実施した。
このショーケースは、東京でのライブの様子を、映像・音響ともに3Dの空間ごとオースティンにリアルタイムで転送する試みで、2017年に日本人で初めてグラミー賞にノミネートされたDJ starRoをオースティンに、国内外で数多くの注目を集める日本人ダンサーデュオ AyaBambi、向井太一、呂布、Cheeky Paradeを東京に招き、東京のアーティストたちがあたかも“テレポート”し、オースティンのオーディエンスと一体となったようなライブ体験を提供した。
「ライブ体験は、“生”だからこそ良い」という一般的な価値に対して、このテクノロジーによって、ある意味“生”を超えて体験者がアーティストのいるステージ上に入り込むような、全く新しいライブ体験のあり方を提案した。