デジタルリードエージェンシーは懐の最深部を知っている生活者
その他にもIMJは、テーマパークのアトラクション制作や、リゾート施設の体験型宿泊プランの企画など、一見デジタルという言葉からは連想されにくいサービスデザイン領域の仕事にも携わっている。
現在、デジタルリードエージェンシーがこのような案件を一手に引き受けることによって、大きなイノベーションが起きている。その波を牽引する後藤氏は、「デジタルを意識していない」と言う。
「昨今はデジタルもリアルの一部だと思っていて、それを分けて考えると良いものはできない。そんな中でAIやIoTなどの目新しいテクノロジーを追い求めると、本来の目的からずれてしまう恐れがあると思っています。だからこそ、モエ・エ・シャンドンの事例では最先端のデジタル技術から企画を立案するのではなく、ブランドそのものが持つ価値に着目しました。会場に打ちあがる花火は、繊細な泡が立ち上る“モエ・エ・シャンドン”ならではの表現方法でした」。
今後のDLAの未来について、後藤氏は次のように予測する。
「デジタルリードエージェンシーは、クライアントと一体となり、同じ方向を向いて企画を進めます。例えるなら、『懐の最深部を知っている生活者』。第三者目線で企画全体を見渡しているからこそ、クライアントの盲点に気づくことができます。そう考えると、現在のようにコミュニケーションプランを考案するだけではなく、ゼロからサービスをつくる際にサポートしたり、一丸となってプロダクトを開発したり、膨大なデータの活用法をともに考えたりと、今まで以上に広い領域でクライアントの力になることができるかもしれません。現在、IMJはBMWなど外資系企業との取引が増えてきていますが、今後は日本の老舗ブランドや地方自治体ともパートナーシップを築くこともあるでしょう」。
デジタルリードエージェンシーは、単にデザインを変更したり、デジタル技術を活用したりするだけでなく、売上・認知度向上のための仕組みづくりや継続的な開発における課題を総合的に解決することができると言えよう。
最終目的はクライアントと共にブランド価値を高め、売上を伸ばすこと。さらに言えば、人や社会のために何ができるのかということだ。そのための手段はデジタルに限らない。だからこそ、デジタルとリアルに境界線を引かないデジタルリードエージェンシーの活躍に期待が高まる。
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