日本初の冒険的な学びの場をつくる
大阪芸術大学にアートサイエンス学科が生まれた背景には、社会、市場、そして価値観が多様性と複雑性を増す中、デジタルテクノロジーが欠かすことができない創造基盤になっていることが挙げられる。
また、アート、デザイン、メディア、エンターテインメント、広告などの分野では、目的に応じた境界が取り払われ、クリエイターによる斬新な発想や構想力がテクノロジーと融合し、ときに進化させた、かつてない表現が生まれている。
こうした時代や社会背景の中で、クリエイティブな才能やスキルを磨いていくためには、想像力や創造力に関わる広範なサイエンスに習熟し、手技としてのテクノロジーを存分に身につけていくことが必要となっている。
このような人材を育てるべく、大阪芸大が新たなカリキュラムと指導陣を用意して創設したのが、アートサイエンス学科である。
同学科では、「芸術」「情報」「社会」という3つの領域を横断しながら学ぶ。そこで武村泰宏学科長を筆頭に、これらの領域の第一線で活躍するクリエイターたちが教授、准教授として学生たちの指導に当たる。
国内外での広告賞を多数受賞し、世界の広告表現の最先端を知るクリエイティブディレクター 原野守弘教授。ロボット工学において日本の第一人者である萩田紀博教授も教鞭を執る。
そして、4半世紀にわたりインタラクティブアートの探求を続ける市川衛教授。アニメとテクノロジーで新たなエンターテインメントを創出するプロデューサーでもある浅尾芳宣准教授。多彩な素材や技術を組み合わせ「音」が持つ可能性に挑むメディアアーティスト 中野圭准教授。
さらには、ロボティクスの視点から人間の感情表現をデザインする中川志信教授、インタラクションデザイナー 平原真准教授というように、自身もアーティストやテクノロジストとして活躍する多彩な分野の教授陣が学生たちを迎える。
また、客員教授にはMITメディアラボ副所長の石井裕先生、プロジェクションマッピングのトップランナー NAKED村松亮太郎先生、さらにはいまや世界のアートシーンから注目を集めるチームラボ 猪子寿之先生という、アートサイエンスの第一線を走る顔ぶれが揃った。
学科開設1年前から、さまざまなイベントも行ってきた。大阪市中央公会堂でのプロジェクションマッピング、そして2016年末に大阪を盛り上げた「Music Festival teamLab Jungle」などを開催した他、Webメディア「bound baw」の創刊など、アートサイエンスとはどんなものであるかを体現できる試みに挑んできた。
この4月から大阪芸大は、未来の学びであると同時に、日本で最初の冒険的な学びの場を本格的につくりあげていく。2018年には建築家妹島和世さん設計による同大学の新校舎も完成予定。学生たちの創造性を刺激する場はさらに広がっていくだろう。
編集協力/大阪芸術大学