企画採用の決め手は少しヒネって2 万店に伝わるか
pdcの「ピュア ナチュラル」は1992年発売のスキンケアブランド。2万店舗規模に配荷することでの購入の利便性や、化粧水と乳液を合わせた「2 in 1」の多機能による簡便性が受け、ロングセラーとなった商品だ。2016年には、シリーズ累計出荷本数7700万本を達成した。
メインユーザーは現在、50歳代〜60歳代。発売から年を経てターゲットが高齢化し、新たな世代の獲得に苦しんでいた。
オリエンテーションの眼目は、①全国2万店で行える店頭重視の販促。②既存顧客の維持と、主に20歳代の新規顧客の獲得。はたして提案者の三島将裕氏・野田紗代氏(博報堂)らはどう応えたのか。
企画を貫くキャッチフレーズは母娘をターゲットにした「ふたりで1本 はじめの1本」。商品特長の「2 in 1」を踏まえ、母親層となった既存顧客と、「ムリなくスキンケアをはじめたい」新規顧客の20歳代以下の層を一挙に巻き込む企画だ。
「ほかと比べ肌悩みの少ない10歳代〜20歳代は『ピュア ナチュラル』の手軽さが最も強みとなる。とくに20歳代前後は就職活動や新生活で慌ただしい。この商品はもっと使われるはず」(野田氏)
「同時に、既存顧客に距離を感じさせず、維持するために、『母娘』という枠組みが適していると考えた」(三島氏)
メインの施策は店頭販促に活用する「アテンションツール」。パッケージ中央部分の「化粧水+乳液」のデザインをふまえ、「ふたりで一本~」のコピーを訴求する。同時に、写真共有サービスの「Instagram(インスタグラム)」で、母娘のツーショット写真の投稿を促進。写真映りを入り口に、スキンケアを意識してもらうことにつなげる。
「実際に地方のロードサイド店を回っても商品は棚の下段に置かれていることが多かった。最低限商品を目立たせる、できればレール部分にPOPを集中してもらい、上から見ても視界の中で映えることを意識した」(三島氏)
「コンセプトも実施内容も、小売店バイヤーに提示したときに、納得してもらえそう、という第一印象だった」と話すのは、pdcマーケティング本部の北條雅隆シニアマネージャーだ。
「企画を店頭で実施いただくためには、バイヤーの納得と理解が欠かせません。あまりに込み入った内容では誤解を招きます。一方、シンプルすぎる企画でもダメ。ほんの少しヒネった企画だからこそ、2万店舗規模に伝わる期待感が生まれる。それが採用の重要なポイント。今回は、『2 in 1』を母娘向けと解釈した前例のなさと、家族間のコミュニケーションを醸成すること、必要十分な実施内容の3点が決め手でした」
実施は9月ごろからを予定する。店頭をメディアとして重視した施策。成果に期待がかかる。
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