マーケティング先進企業へ飛躍する「LIFULL」、社名変更やデジタルマーケティングのインハウス化を進める理由とは?

不動産・住宅情報サイト『HOME’S(ホームズ)』などを運営するネクストは2017年4月、社名をLIFULL(ライフル)に変更した。それに伴い、サービスの名称を変更したほか、新たなブランド戦略やシステム統合、デジタルマーケティングのインハウス化なども進めている。社名変更の狙いからマーケティング戦略まで、同社マーケティング戦略部 MAユニット長の菅野勇太氏と、グループ会社であるLIFULL senior マーケティンググループ グループ長の水崎創介氏に聞いた。

LIFULL マーケティング戦略部 MAユニット長 菅野勇太氏(右)と、LIFULL senior マーケティンググループ グループ長 水崎創介氏(左)。

社名変更のためのマーケティング戦略

—2017年4月1日に社名をライフルに変更しました。その背景から教えてください。

LIFULL マーケティング戦略部 MAユニット長 菅野勇太氏。グループ全体のシナジー戦略の立案から、マーケティング・プラットフォームの構築までを担当。

菅野:我々は2015年からグループ企業を100社に増やし、事業を100カ国に展開する「100社100カ国」という方針を掲げました。

その100社の事業に別々の名称を付けるよりも、統一した方が効率的に信頼感や好感を持ってもらえます。そこで、上位のブランドの下に複数のサービスを連ねる「マスターブランド戦略」をとることにしたのです。さらにグローバル化を進める上でも、社名の「ネクスト」やブランド名の「ホームズ」は一般名詞のため、変更した方が展開しやすいという判断もありましたね。

新社名は社内公募し、「世界中のあらゆるLIFEを、安心と喜びでFULLにしたい」というメッセージを込めて「LIFULL(ライフル)」に決まりました。現在は不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME’S』、老人ホーム・高齢者住宅検索サイト『LIFULL介護』など、サービスの冒頭に「LIFULL」が付いています(※BtoBサービス、海外ブランドなど一部例外がある)。

—「100社100カ国」の実現に向けて、マーケティング戦略部ではどのような動きをしているのでしょうか。

菅野:大きくは「ブランド戦略」と「システム統合」に分かれます。

「ブランド戦略」としては、まず新社名変更にあわせてブランドを認知させていくことが必要です。そこで基幹事業である「ホームズ」のキャラクター「ホームズくん」がアイコンとなって旧ブランドと新たなブランドの橋渡しをすることを目指しました。

社名変更の1年前から「ホームズくん」を起用したテレビCMや屋外広告を展開していったのです。その結果、改めて世の中に対してしっかりとサービスが認知されたのではないかと思います。

一方の「システム面」では、グループのCRM統合を進めています。冒頭に申し上げたとおり、100社に向けて子会社や関連会社を増やしています。そこで必要になるのが、住居探しや保険の見直しなど、複数のサービスを併用されるお客さまを同じ一人の方として認識することです。そして、それぞれのお客様を認識した上で、最適なタイミングで接客できるよう、グループ横断でのマーケティング・オートメーションツールの導入も進めています。

LIFULLでは、一緒にマーケティングを担う仲間を募集しています。興味のある方はこちらをご覧ください。

—マーケティング部がシステム統合も主導しているのですね。日本では宣伝やマーケティング、CRM、リサーチなど縦割り型に分かれている企業も多いので、驚きました。

菅野:そうですね。私の部門にはマーケターのみならず、デザイナーやエンジニアも所属しています。全員がプランナーという意識を持ちながら、それぞれに専門領域を持っているのです。その分、一人ひとりがカバーする領域も広く、今後もさらに強化していくために、まさにマーケティング担当者を募集しているところです。

—LIFULLには介護や引越し、保険など、さまざまなグループ会社があります。グループ会社ではどのようなマーケティング施策を実行しているのでしょうか。

LIFULL senior マーケティンググループ グループ長 水崎創介氏。老人ホーム・高齢者住宅検索サイト『LIFULL介護』のデジタルマーケティングを担当。

水崎:基本的には、各サービスに集客するための、デジタルマーケティング施策が中心です。私が所属するLIFULL seniorにて、『LIFULL介護』のリスティング広告やディスプレイ広告、メールマーケティング、アフィリエイトなどを行っています。

最近では、これらデジタルマーケティング施策のインハウス化を進めているところです。デジタル広告の運用を広告会社に任せずに、自社内だけで完結できるように体制を整えています。

—インハウス化を進める狙いは何でしょうか。

菅野:我々が目指しているのは、まず「広告とCRMの連携」になります。例えば、賃貸の契約が完了した方に対して、必要なのは物件情報ではなく引越し会社の情報になります。しかし現状では、『LIFULL HOME’S』の広告が出続けて、すぐには『LIFULL引越し』の広告に切り替わらないケースもあります。そこをスムーズに切り替えるためには、CRMと広告の連携が必要なのです。その世界観を実現しようと思うと、広告会社に一任するのではなく、自社で行うべきだと判断しました。

水崎:さらにデジタル広告は、事業計画や季節のトレンドに合わせて、予算配分を柔軟に変更することで成果が出ます。実際に、広告の反応を見ながら月単位ではなく四半期単位で予算を割り当ててスピーディーに対応したところ、半年間で反響目標に対して120%を達成できました。

老人ホーム・高齢者住宅検索サイト『LIFULL介護』

—半年で成果につながったのはすごいですね。

水崎:私はデジタルマーケティングの知識がゼロの状態から、半年間でインハウス化を進めたので大変でした(笑)。本社の菅野にサポートや外部のコンサルタントのアドバイスを得て、トライ&エラーを繰り返しながら、運用効率を改善しています。

菅野:本社側でも、広告会社にお願いしていたレポーティング作業や広告の入稿作業を自動化させるシステム開発を進めました。ただ本社としては、グループ会社だから、常に本社の指示に従ってほしいとは思っていません。逆に小規模だからこそ、最先端のマーケティングに柔軟かつスピーディーに取り込み、そこで得た知見を本社のマーケティングに還元してほしいと思っています。

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