ジョンソン・エンド・ジョンソンが今Twitterに投資をする理由。マーケティングに変革をどう起こしたのか?

ほぼ100%テレビCMの状況への疑問

—2ブランドの戦略は、デジタルを中心に、かなり先進的な取り組みをしていると思います。現在のマーケティング戦略の方針をお聞かせください。

私がJ&Jに入ったのは2年前。その時に驚いたのは、これだけ時代がデジタル化の流れにあるにもかかわらず、マーケティング活動はほぼテレビCMが100%という状況でした。そこでこの2年間の取り組みは、マーケティング活動の方法を変えるための組織づくりや意識改革が中心。その取り組みが当社にとってのチャレンジだと思います。

「変革をしなければ!」と考えたというより、率直に言って「なんで、今の時代にそんなにテレビCMばかりを使っているのだろう?」と不思議に思ったという感じです。視聴率は低下傾向にあるので、テレビCMの在庫は減っている。それにも関わらず、テレビに出稿したい企業は減らない。それだからテレビCMの価格が高くなっているのに、今のままでテレビCMに頼り続けているままでいいのだろうか、と。それって「Make Sense」しないですよね。

別にマーケティング投資を100%、デジタルにシフトしようとまでは考えていません。確かにテレビが効果的な場面もあります。でも、もう少し消費者の実態に沿ってマーケティング活動を再構築しないといけないな、と考えるようになりました。

私が入社した当時、会社としてもデジタルの活用は急務であるという方針で、デジタル専門のチームもすでに社内にありました。ところが、そのチームのKPIは「マーケティング予算全体の何割を使う」というもの。目的ありきではなく、予算ありきで施策を考える状態に陥っていました。当然、予算を使うことがKPIになれば、成果は出ない。

各ブランドのマネージャーは売上に責任を負っているので、デジタルの施策で成果が出なければ「テレビCMを打ったほうがよい」と考えますよね。そうなると、全体予算の何割と決められてはいても、デジタルに投資をしたがらなくなる。そこでデジタルの施策が売り上げに貢献するような組織づくりから始めました。

次にしたことは、マスの担当とデジタルの担当の無駄な戦いを止めさせること。デジタルチームをメディア/デジタルチームに改編することで、それぞれのブランドに合わせて適切なメディアプランニングを統合的に実現する方針を示しました。テレビもデジタルも同じ人が担当すれば、無駄な戦いが起きることはなくなりますから。

3つ目にやったことが部全体のデジタルマーケティングに関わる意識を高めること。「みんなで詳しくなりましょう!」と話して、皆でトレーニングをしました。一部のデジタルの専門家がいる状況ではなく、マーケティング部門の皆がデジタルのリテラシーを身に着けることが重要と考えたからです。勉強をし、施策を試し、成果が出てくるようになってからは、それを皆で共有する場もつくりました。テレビCMは柔軟性のある広告枠ではないですが、デジタルは違う。アイデア次第でいろんなチャレンジができるので、だんだんと部の皆も楽しくなっていって、良い循環が生まれていきました。

Twitterさんとも日頃から、密にミーティングをし、同じチームとして仕事をしているという意識を持っています。そういうコミュニケーションが普段からできているので、Twitterさんからも「この広告メニューを買ってください」という枠売りの提案ではなく、私たちが抱えている課題を共有し、その解決のための新しい施策を一緒に考えてもらえる関係ができていると思います。そうなると、部員もさらに仕事が楽しくなっていくし、デジタルに対するアレルギーもなくなっていきました。

失敗も糧にしながら、高速でPDCAを回す

—チャレンジができるのは、失敗を恐れない組織風土ができてらっしゃるからではないかと思います。

そうですね。そこは、結構大事ですね。実は昨年は、結構たくさん失敗をしたんです…。でも、失敗があっても成功もあり、結果的にビジネス全体は伸びているので、良かったのではないかと思っています。重要なのは、失敗して終わりではなく、そこから学びを得ること。て、うまく分析をして、どう次に活かすか、というところは結構大事だと思うんです。

私たちのチームには「Best Failure賞」というのがあって、社内で最も派手に失敗をした人を表彰しているんです。リスクを取ってチャレンジして、それで失敗をしたのであれば、最終的にみんなで褒めましょう、という風土があるんですよね。

私たちのマーケティング部門も、特にデジタルの領域はこれから 果敢に新しい取り組みに挑戦していきたいですね。仮に失敗したとしても、その失敗を糧にPDCAを回して、次の取り組みにつなげることが重要と考えています。

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