短尺だからこそ重要な、ターゲットへの深い理解
「試合以外の接点を通じてファンの日常に自然に入り込み、親しんでもらう。そうしたことに長く取り組んできたことも奏功してか、サポーターは我々から投げかけられる“サッカーと関係のないコンテンツ”も前向きに受け取ってくれる印象があります」と吉冨氏。
当然、今年のエイプリルフールもサッカーファンからの期待が寄せられていた。「昨年が200年前なら、今年は2000年前だ!」と制作したGIF動画は、古代ローマのテルマエ(公衆浴場)を舞台としたもので、こちらも再生回数はGIFMAGAZINE上で20万回、Instagram上では昨年を超える1万4000回と大きな話題になった。
「GIF動画は極めて短尺ですから、要素を盛り込みすぎないことが大切。『ターゲットにとって面白いことは何か』をとことん突き詰め、凝縮する必要があります」と大野氏。制作過程では、サポーターのニーズや“ツボ”を最も深く理解している吉冨氏と密に意見交換をしながら、構成や細かい表現を詰めていった。
「蹴鞠の動画に登場するキャラクターは、当初は特定のモデルがいませんでした。しかし『思わず誰かに言いたくなるもの・保存したくなるもの』はどんなものか?と考えると、実際の選手を登場させたほうが面白いと思ったんです」と吉冨氏は笑う。
GIFMAGAZINEも、フロンターレサポーターやサッカーファンのSNS投稿を観察し、彼らが“思わずいじりたくなる”ポイントを徹底的に研究した。「コンテンツを企画制作する上で、ターゲットの共通言語やブランドに対する温度感を知ることは、どんなブランドや商品でも重要です」(大野氏)。
エイプリルフールの他にも、選手の誕生日には一人ひとりにフォーカスした動画を公開するなど、同クラブは継続的にGIF動画を活用している。制作した動画はGIFMAGAZINE上の公式チャンネルにまとめ、動画が長期的に、広範囲のユーザーに閲覧されるよう工夫している。
ファンの好意的な反応を積み重ねることで、ブランディングを実現してきたフロンターレ。「サポーターとクラブとの関係性が強化・深化してきたことで、一つひとつのコンテンツに対する反響が大きくなってきたと感じます」と吉冨氏は話す。
今後、GIF動画を使ってやってみたいことを尋ねると、「海外では一般的ですが、各試合のキープレーをGIF動画にして配信してみたいです。純粋にスポーツの面白さを感じられるようなコンテンツも、今後は提供していきたいと思っています。また、ファンを巻き込むような企画も検討できたら。例えば、オリジナルのGIF動画を生成できる仕掛けも面白いかもしれませんね」と、GIF動画のさらなる活用可能性に期待をのぞかせた。
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