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納豆のタレに、日本人の繊細な感覚を見る
最近、海外で暮らす日本人と話をする機会が増えています。これは私に限ったことではく、グローバル化の進展により、おそらく多くの人が経験しているのではないでしょうか。そんな時、必ず話題になるのが日本と海外の文化の違いです。
日本の文化、特に日本ならではの心配りや繊細な感覚を伝える象徴として、納豆の「タレの小袋」の話を引き合いに出すと、かなり高い確率で賛同を得られます。
ここでいう納豆とは、スーパーやコンビニなどで3個や2個パックで売られている普通の納豆です。現在、さまざまな納豆が販売されていますが、大抵は一人分の納豆(約40-50g)が入っている発泡スチロールの容器のフタを開けると、中にタレが入っています。私が話題にするのは、あのタレです。
まず、そもそも1食ずつの容器に「タレの小袋」が同梱されている点がすごいと思います。さらに驚くべきは、そこでの小さな工夫です。あの小袋には切りやすいように、わずかな「切れ目」が入っているのです。(この「切れ目」は、最近は「どこからでも切れます」と書かれた「マジックカット」加工が一般的かも知れません。「マジックカット」とは旭化成パックスの特許技術で、現在はライセンス供与され多くの商品で使われている技術です。これもすごい工夫だと思います)。
この納豆メーカーによる小さな「切れ目」を入れる工夫、使う人を思いやる発想に、日本人らしい感覚が見えると言ったら大げさでしょうか。この小袋の「切れ目」がすごいのは、安価な日常品に対する工夫だという点です。しかし、もしあの「切れ目」がなかったら、日本の食卓ではハサミが必需品になっていることでしょう。
一方、例えばアメリカなどでは、あれだけ多くの商品がスーパーに並んでいても、タレの「切れ目」に相当する繊細さは、あまり見たことがありません。そう考えると、やはり日本人の感覚は細やかで独特なのかも知れません。そしてあの切れ目に、納豆メーカーによる顧客視点を感じるのは私だけではないはずです。
では、いつから、納豆にタレが付属するようになったのでしょうか。全国納豆共同組合連合会、納豆PRセンターに問い合わせたりして、いろいろ調べたりしました。