昔はコンプレックスに思っていた「昭和顔」が今は武器に
相楽:言ってないですよ(笑)。
澤本:酔っ払うと言ってそうだよね(笑)。
相楽:私、出てんだよ~って(笑)。言わないです。
権八:相当面白いですね、これ。
澤本:うん、相当面白くて、僕らがCMの部分で使ってる優希美青さんも昔は『マッサン』に出てた女の子なの。その子も「私も出てるのに」と言って、張るというCM(笑)。
相楽:朝ドラ対決みたいになっちゃってますね。
澤本:よくテレビ東京許してくれるなと思って。
相楽:本当ですね。懐の深さが。
澤本:テレ東ってすごいよね。話は変わるけど、相楽さんは「昭和顔」と言われるのは、ご自分でどうなんですか?
相楽:自分で昭和感があると思ってます。着物を着たときのほうがまわりのリアクションがいいんですよ。着物のほうが似合うねって言われます。
澤本:だから、よくネットで昭和顔と調べると、代表のように出てくる。
相楽:ありがたいです。小学生の頃や昔はコンプレックスで、目鼻立ちがくっきりしているハッキリした顔立ちに憧れたんですよ。でも、この仕事をはじめてから、それをいいねと言ってくれる人が増えたので、よかったのかなと思うようになりました。
権八:おキレイだし、声が色っぽいというか。
澤本:色っぽい文脈でいうと、よく「壇蜜さんに似てる」と。
相楽:言われますね。
権八:しかも、ドラマでご本人と対面したわけですよね。どうでした?
相楽:すごかったです。色気が。テレビで見るよりも、さらににじみ出てました。何ですかね。壇蜜さんの人生の経験値が高過ぎるんですよ。それがものすごく出てたなと思います。
権八:それは雰囲気ですか?
相楽:雰囲気ですね。壇蜜さんとお話をしていて、私は今、フジテレビで『嫌われる勇気』というドラマで監察医の役をやってるんですけど、壇蜜さんがこの業界に入る前に大学病院で鑑識の助手をやっていたらしくて、亡くなった人をキレイな状態に直したりする仕事をしていたらしいんです。だから、私のドラマにアドバイスをしてくださって。亡くなってる方とも対面してるし、親族のために仕事をする、ということをしてきている人なので、持ってるものがやっぱり違いました。色々な経験をされている方なんだなと。
澤本:それから色気が出るのかな。
相楽:どうなんですかね。色々なものを俯瞰して見ている感じがありました。
権八:相楽さんはどういう女優になりたい、というのはあるんですか?
相楽:いつも思うのは、長く息の続く女優さんでいられることが一番だと思ってます。でも、20代になって、年齢が上の役をやることが最近増えてきたんです。
澤本:自分より上ということ?
相楽:そうです。フジテレビのドラマも28歳の役をやってるんですけど、実年齢より上の役をやらせてもらうことが増えてきて。なので、幅広くできたらいいなと思います。
権八:28歳の役をやる、でも当然、28歳の経験はないわけじゃないですか。さっきの壇蜜さんの話じゃないけど、俳優の方は自分の中に色々な引き出しというか、キャラクターや感情があったほうが、ないよりはいいんだろうなと思うんですけど。そういうことは思いますか?
相楽:それは思います。絶対に日常生活がお芝居に出ると思うので、どう過ごすかは常に課題ですね。
権八:3月16日にドラマ『嫌われる勇気』の最終回ですか、ついに。
相楽:『嫌われる勇気』はアドラー心理学を扱いながら、刑事モノの話なんですけど、香里奈さん演じる庵堂蘭子が幼少期に誘拐された事件があって。その犯人やいなくなったお父さんの行方、そういうものが9、10話でだいぶ紐解かれていくんですね。最終回で全部それが明らかになって、最後の黒幕も出てくるので、かなり見応えのある最終回になっていると思います。
権八:このドラマを見てると、それこそ『嫌われる勇気』じゃないけど、人との付き合い方が変わっていくというような啓発的なドラマではないんですよね? そういう要素もあるんですか?
相楽:考え方を変えるきっかけになる言葉はたくさん出てきます。『嫌われる勇気』の本は、哲人と青年の2人の会話が最初から最後までずっと続いてるんですけど、このドラマの中だと、椎名桔平さん演じる大学教授と加藤シゲアキさん演じる若い青年刑事の2人の会話で本の内容が出てくるんです。なので、そこで承認欲求、他者に認められて自分の地位を確立する、みたいな部分も出てきたりするので。
権八:まさか22歳の女の子に承認欲求の話をされてしまうとは。
澤本:僕ら承認欲求の塊みたいな(笑)。
権八:恥ずかしながら、認めて、認めてと(笑)。
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構成・文:廣田喜昭