(取材先)
阿部広太郎さん 電通
1986年生まれ。2008年電通入社。コンテンツビジネス・デザイン・センター所属。「世の中に一体感をつくる」という信念のもと、言葉を企画し、コピーを書き、人に会い、繋ぎ、仕事をつくる。宣伝会議コピーライター養成講座「先輩コース」講師、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」モデレーター。初の著書『待っていても、はじまらない。-潔く前に進め』(弘文堂)を出版。
2008年に電通に入社後、人事局に配属。 宣伝会議賞に初めて挑戦したのは、その年のことでした。コピーライターとして生きていくからには、宣伝会議賞に挑戦しなければ……そんな気持ちで取り組んだ1年目は、応募数25本。1本も一次審査を通過できませんでした。
念願のクリエーティブ転向が叶って応募した2年目(2009年)は、応募数200本のうち一次審査通過がたったの3本。3年目 (2010年)はぐっと応募数を増やして1800本出したものの、一次審査通過37本・ 二次審査通過2本と受賞にはまったく手が届かず。
闇雲に応募し続けても意味がないと思っていたので、「これが最後」と覚悟して臨んだ4年目(2011年)に2223本を応募し、一次審査通過44本・二次審査通過4本、最終ノミネート1本、そして協賛企業賞を1本受賞することができました。
夜な夜なコピーを書き続けて、ダンボール一箱分のコピーを郵送し、さらには締切直前まで郵便局で書き、小包を郵送したのを、いまでも覚えています(編集部注:2011年の第49回までは郵送での応募受付)。
なぜSKATを手に取ったのか
宣伝会議賞における「SKAT」は、大学受験における「赤本」です。過去を知らなければ、新しいものは生まれない。そう考え、2008年に応募を始めた際に第1巻からすべて購入しました。
過去にどんな課題が出て、それに対してどんなコピーが書かれたのかを知ることで、自分がこれから何を書くべきかが見えてくると思ったんです。そんな膨大な量の「Q&A」が、「SKAT」には詰まっています。それをできる限り多く知り、自分の中に吸収していくことで、どんな課題が出たときにも反応できる反射神経が身につくと考えました。
具体的には、自分がいま取り組んでいるのと同一、あるいは近しいカテゴリーの課題で、過去にどんなコピーが書かれたのかを、巻をまたいで見ていきました。自分自身との距離があまりに遠い課題の応募作品をただ見ているだけでは何も身に付きませんから、取り組む課題を軸に過去を遡る形がおすすめです。
いいなと思った作品には付箋を貼りながら、「こういう視点もあるんだ」「この切り口、被っちゃいけないな。これを超える視点はないかな」のように見ていました。そして実際にコピーを書くときは、いいなと思った過去のコピーから得られる〝読後感〞を再現することを目指しました。
切り口や細かい表現をそのままトレースしても意味がありませんし、それは単なる〝パクリ〞になってしまいますから。「どういう思考回路で、このコピーが考えられたのか」を考えることが一番の勉強だと思います。
第54回宣伝会議賞の一次通過以上の作品をすべて収録
プロが選んだキャッチフレーズ・CM企画4852点を掲載!
「SKAT.16 SENDENKAIGI AWARD TEXT」には、第54回宣伝会議賞の全受賞作品、審査講評、一次審査通過以上の作品 計4852点を収録しています。
また、宣伝会議賞贈賞式にて行われたスペシャルトークイベント コムアイ(水曜日のカンパネラ)×秋山具義(デイリーフレッシュ)×谷山雅計(谷山広告) 「私が心を突き動かされた言葉」も収録。ただいまAmazonで予約受付中です!