マーケターによる、アイデア会議
研究会の最後には、毎回恒例となっている互いのブランドに関するマーケティングのアイデアを発表。
東京個別指導学院の早川氏からZebra Japanの柘野氏に対しては「ホームパーティや誕生日プレゼントなど特定のシーンに合わせた『Flying Tiger Copenhagen』の複数商品のパッケージ提案や店頭スタッフによる商品選びのコンサルテーション」というアイデアが投げかけられた。
柘野氏も「ホームパーティが好例だが、店頭スタッフが特定の使用シーンに合わせた雑貨のコンサルテーションは大きな付加価値になると考えていた。パッケージ型の商品販売も検討したい」と答えた。
レッドブル・ジャパンの長田氏から東京個別指導学院の早川氏に対しては「塾選びは子供だけでなく親の意見が大きいと思う。そこで教室という空間を子どもだけでなく、親にとっても魅力的な場にする。親も一緒に学べたり、特別なサービスを受けられる工夫があるといいのではないか」とのアイデアが。
早川氏も「教室は各エリアの一等地にあるが、平日日中は稼働していない状況は長年の課題になっている。長田さんのアイデアをもとに、企画を考えてみたい」と話した。
スポーツをする際、日頃から「レッドブル」を愛飲しているという柘野氏から長田氏に対しては「自分用にカスタマイズしたエナジードリンクのレシピや楽しみ方の提案があってもよいのでは」とのアイデアが。マラソンランナーがそれぞれ独自の栄養ドリンクをつくっているように、レッドブルと他の飲料を混ぜた飲み方提案があると、さらに飲用シーンが広がるのでは、というのが柘野氏の考えだ。
マス・プロモーションだけでは、オケージョンまで伝えきれない
研究会を総括して、加藤希尊氏は「今回の研究会では、ひとつのキーワードが浮かび上がってきた。そのキーワードとは『Occasion(オケージョン)』。オケージョンとは、あることが起きる適切なシーンのこと。
ユニークで多様な雑貨を扱う、Flying Tiger Copenhagen、スポーツシーン、仕事の場など、人それぞれの元気になりたい瞬間をサポートするエナジードリンクレッドブル、子どもによって異なる学びたくなる瞬間を捉える必要のある東京個別指導学院と、ブランドマーケターは、自分たちの商品が生きる場面、オケージョンを理解している。しかしそれが、なかなか消費者に伝わっていないことの課題も浮き彫りになってきた。
マス・プロモーション一辺倒では、伝えきれない多様なオケージョンの提案。そこではデジタルテクノロジーの活用も欠かせないし、今後のマーケティングの大きなテーマになっていくのでは」と締めくくった。
<各社紹介>
参加企業3社のマーケティング活動
Zebra Japan
〇デンマーク発祥の雑貨ブランド「Flying Tiger Copenhagen」の企画・製造・販売を行う。
〇「Flying Tiger Copenhagen」の日本上陸は2012年。現在、国内で23店舗展開をし、1日の来店者数は3万~5万名に達する。
〇皆を笑顔にして幸せにすることが「Flying Tiger Copenhagen」が掲げるブランドのコンセプト。他の雑貨店にはないユニークな商品、迷路のような店内レイアウトに特長がある。
〇年間で扱うアイテム数は7500超と豊富なラインナップも人気。
東京個別指導学院
〇個別指導の学習塾として1985年創業。2007年よりベネッセグループの傘下に。
〇首都圏を中心に、「個別指導教室」232教室展開。また「Benesse サイエンス教室」4教室、「Benesse 文章表現教室」15教室、ネット指導の「CCDnet」を運営(※2017年5月現在)。直近で5年連続増収増益を達成している。
〇より深い顧客理解とコミュニケーションが必要との考えから、3月1日付でマーケティング部に「エンゲージメントマーケティング課」を新設。少子化時代を勝ち残るため、マス・プロモーション以外のコミュニケーション手段を模索。
〇8500名を超える講師は、大学生が中心。いかにして、企業の理念を体現した指導を行う体制を整えるかが重要。
〇講師は卒業後、社員として入社するケースが多く、今年の新卒社員37人中、24人が講師出身。
レッドブル・ジャパン
〇エナジードリンク”Red Bull(レッドブル)の販売だけでなく、レッドブルのブランドのもとメディア・コンテンツビジネスも展開するオーストリアのグローバル企業。大手メディア企業に映像などのコンテンツを提供する他、自社で運営するインターネットテレビ局”Red Bull TV”はワールドワイドにメディア事業も展開。
〇飲料ビジネスにおいては、日本においてエナジードリンク自体の認知・浸透を図る必要があったため、日本上陸からサンプリングプロモーションを継続。その他スポーツやカルチャーなどレッドブルの飲用シーンにあったイベントの開催・サポートを行うなど、ブランド体験の場づくりを重視する。
〇アスリートやアーティストを巻きこんだプログラムを通じて、ファンの体験を促すインフルエンサー施策も展開。
後日談:16回研究会から、早くもコラボが実現!
4月13日の研究会がきっかけとなり、早くも東京個別指導学院とレッドブル・ジャパンのコラボ企画が実現しました。5月30日に東京・虎ノ門ヒルズで開催された、東京個別指導学院の「全体会議」(年に2回、各教室の社員、本部社員全員が集まる場)で、「レッドブル」のサンプリングが行われました。ただのサンプリングではなく、マーケティング部員14人が総出で書いた、手書きメッセージ付き。学習業界の繁忙期である夏に向け、「皆さんに翼を授けます!」と声をかけながら「レッドブル」を手渡しし、参加者のエナジーチャージもバッチリだったそうです。
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