宣伝会議では4月4日、音部大輔氏の著書『なぜ「戦略」で差がつくのか。-戦略思考でマーケティングは強くなる-』の刊行記念セミナーを開催。マーケティングを成功に導くために必要な「戦略」についての理解を深め、戦略を使いこなすヒントを探った。
戦略とは「目的達成のための資源利用の指針」
第一部では「戦略思考を身につけ、使いこなすには」をテーマに、音部大輔氏が登壇。はじめに「戦略はビジネスにおいて重要な概念であるはずなのに、多くの人は『戦略』の概念を真に理解していない。それぞれが異なる意味で『戦略』と言っている結果、ビジネスの現場で混乱や誤解が起きている」と、戦略の概念を明確にすることの重要性を伝えた。
音部氏は「戦略とは、目的達成のための資源利用の指針である」と定義づけている。資源が無限にあれば、目的達成に向けて何をどれだけやっても構わない。しかし、時間をはじめとする資源には限りがあるので、戦略を組み立ててから実行に移す必要があるのだ。
良い戦略を立てられるか否かは、目的と資源をどう解釈するかによって決まる。「戦略の立て方がうまい人は、目的と資源を再解釈する視点をいくつも持っている」と音部氏は言う。「一見資源と思えない要素を資源として再解釈できれば、資源の量は自ずと多くなり、運用できる資源の量が多ければ、目的達成の可能性は増大する。目的と資源の再解釈が適切にできていれば、戦略の組み立てで大きな差がつくことはない。逆に言えば、目的と資源の2要素の解釈が戦略にとって極めて重要であるし、ここで差がつく」と解説した。