資生堂・音部氏が語る、マーケティングを成功に導くために必要な「戦略」

戦略の成果を柔軟に評価できるKPI設定を

第二部の後半では、KPIの活用・評価方法が話題にあがった。音部氏は「KPIの達成に躍起になるあまり、本来達成すべき目的を見失ってしまっては本末転倒。KPIを活用・評価するときに、戦略本来の目的を見誤ってはならない」と、改めて戦略における目的の重要性を説いた。

また、音部氏は1つのKPIだけを見ていては戦略の成否を正しく判断できないこともあると指摘。「複数設定したKPIのうち1つを満たしていなくても、他方で著しく満たすKPIがあれば、包括的に見て目的を達成している可能性がある。目的に対する個々のKPIの意味をそれぞれ理解したうえで、戦略の成否を目的に照らして正しく評価できるよう、複数のKPIを設定するのがいいことも多い。できる限り顧客価値の評価が見えるKPI設定をするよう心がけてほしい」と見解を述べた。

磯部氏もこの見解に共感し、「KPIをクリアすることに固執しすぎる人が多いと感じている。目的に立ち返って戦略を考える人が増えてほしい」と語った。

書籍案内

『なぜ「戦略」で差がつくのか。 – 戦略思考でマーケティングは強くなる -』
本書は、それぞれの読者が戦略を実践的な思考の道具として体得されることを目指すものです。著者が、P&G、ダノン、ユニリーバ、日産自動車、資生堂、とマーケティング部門を指揮・育成しながら築いてきたものをベースにした戦略概念と、思考の道具としての使い方を丁寧に紐解きます。

はじめに/第1章:戦略を定義付ける/第2章:戦略の構成要素①「目的」を解釈する/第3章:戦略の構成要素②「資源」を解釈する/第4章:戦略の効用/第5章:戦略を組み立てる/第6章:戦略を管理する/第7章:戦略的に考える/第8章:「戦略」をより深く理解する/おわりに

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