コラムでは、本書の編集に関わった博報堂DYメディアパートナーズ社員が、各メディアのトピックを紹介します。
新聞社の強みを再認識
新聞の発行部数は減少傾向が続いている中、新聞広告も新聞社のプロパティや強みを活かした様々な施策が見られます。
たとえば、その編集能力を活かした記事体広告です。信頼性の高い媒体だからこそ、企業のコミュニケーションを記事体広告で実施することで、読者にもより納得感を与えることができます。インターネットの普及で、多様な情報があふれ、ニュースの信憑性・信頼性があらためて問われている今だからこそ、ニーズが高まっていると思います。
次に、その運営力やキャスティング力を活かしたイベントです。歴史と信頼のある新聞メディアだからこそ可能な、国や行政で働く方をキャスティングしたシンポジウムの開催や、権威ある学者や知識人、アスリートを呼んだセミナーなど、新聞社と組むことで実現可能なイベントで、世論の醸成を狙った企画が見られました。
これからの新聞広告
上記のような強みを活かしつつも、様々な変革を遂げて行くことが必要だと考えています。
まず、私は“信頼”の定量化が必要だと思います。新聞メディアは昔から「信頼とリーチのメディア」と言われてきました。部数減によりリーチが下がる中、“信頼”とは具体的にどんなことなのか、誰に信頼されているのかをより明確にしていく必要に迫られています。
上記にも書いているように、“信頼”という言葉をいくつか使用しましたが、これは定性でしかありません。このような定性データでは、正直反応しないクライアントも増えてきているのが現実です。だからこそ、新聞メディアの誇るこの“信頼”を定量的に分析していく必要があるのではないでしょうか。
その糸口となるのが、顧客IDデータです。デジタル広告配信を効率的に行うために、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を導入して顧客IDデータの一元管理、分析を行う新聞社も増えてきています。
これがより進むと、販売店の持つリアルな購読者の情報もそれに統合され、より深いデータとなり、歴史ある新聞メディアだからこそ持てる貴重なIDデータとなると思います。それらのデータから導き出される分析で、誰にとって、何にとって“信頼”なのかがより詳細にわかり、新聞メディアならではの強みがはっきりと見出せるのではないでしょうか。
倉林孝明
博報堂DYメディアパートナーズ
新聞局業務推進部