コラムでは、本書の編集に関わった博報堂DYメディアパートナーズ社員が、各メディアのトピックを紹介します。
雑誌から生まれる流行語
「壁ドン」「カープ女子」。テレビやWebでよく見聞きし、流行語にもノミネートされたこの言葉たちは、実は“雑誌”が生み出した言葉であるということをご存じでしょうか?
これらの言葉は人気漫画で使われたのが初めで、爆発的に認知され普段の会話でも使われるようになったものです。
このような「言葉」を始め、雑誌が発信する「話題(トレンド)」「キャラクター」などの雑誌が発信しているコンテンツは、テレビやWebを中心に世の中に様々な形であふれています。
潜在的読者の登場
その兆候に拍車をかけているのが、スマートフォンの普及です。
雑誌、書籍の読み放題サービス、キュレーションサイトやSNSなど、スマホで見ることのできる情報には多くの雑誌コンテンツが掲載されており、雑誌離れが進んでいると言われる若年層においても接触機会が増え、無料で雑誌コンテンツに接する「潜在的読者」はむしろ増加傾向にあります。
これは大きなチャンスです。
今後、この「潜在的読者」を可視化し、アプローチをかけていくことで、若年層(ミレニアル世代)やデジタルネイティブ世代への新たなビジネスにつなげることが急務です。
雑誌広告ビジネスの未来
雑誌の販売部数は減少傾向にある中、雑誌ブランドのデジタルシフトはここ数年加速しています。
ABC REPORT(一般社団法人ABC協会)にも掲載されていますが、ほとんどの雑誌社は、雑誌ブランドごとにWebや有力なソーシャルメディアに公式ページや公式アカウントを設けています。加えて雑誌ブランドの特性を生かしたアプリ、メルマガ、EC、読者組織、イベントなどで雑誌ブランドのオーディエンスを拡張させています。
今までは誌面を中心に、商品ターゲット層の閲読率が高い雑誌を選定するという、出稿プラニングを行ってきました。しかし、これからは雑誌ブランドが持つオーディエンスを見据えて、出版社とコンテンツを制作し、デジタルやリアルで拡散させて、いかにオーディエンスと接点を生み出していくかが求められます。さらに今後、潜在的読者が可視化されてデータが蓄積される動きが進めば、データを詳細に分析し、コンテンツ配信に活かす動きが加速しそうです。
信頼性の高い、良質なコンテンツを求める昨今の風潮の中、出版社や雑誌本来の強みであるコンテンツを生み出す力はまさに今求められています。
私達はこの雑誌が発信しているコンテンツに接する潜在的読者の属性や趣味嗜好を可視化し、これらのデータを各企業のマーケティングに活かしていく方法を生み出す必要があります。
今後も雑誌ビジネスから目が離せません!
榎本洋行
博報堂DYメディアパートナーズ
雑誌局 業務推進二部