「きよらグルメ仕立て」のアキタに聞く、ACC賞グランプリの効果

昨年のACC賞マーケティング・エフェクティブネス部門審査(以下、ME部門)で、グランプリを受賞したアキタ「きよらのたまご」。同社として初の全国CMでグランプリに輝いた背景や、受賞後の変化、広告賞への思いについて、キャンペーンを率いているアキタ 経営戦略室 室長 山﨑俊明氏に聞いた。

アキタ 経営戦略室 室長
山﨑俊明氏

1973年、大阪府生まれ。大学卒業後、大正銀行を経て、1999年アクサ生命保険に入社。2002年MDRT(世界100万ドル円卓会議)会員資格を同社最年少で取得。その後、大阪LAマネージャー、仙台LA支社副支社長、金融法人営業部副部長を全て最年少で歴任。2011年、アキタ経営戦略室室長に就任。同年に採用コンサルティングのT&Aパートナーズを設立。2014年、タレントアンドアセスメントを設立し、戦略採用面接メソッドを中心とした採用ソリューションの提供を開始。両社ともに代表取締役に就任。

あますところなく受賞を活用

—「きよらグルメ仕立て」のCM第3弾は、放送前からさまざまなメディアに大きく取り上げられていましたね。

山﨑:テレビ番組「王様のブランチ」のエンタメランキングで10位。「ZIP!」「スッキリ!!」をはじめ、多くのメディアで取り上げていただけました。これも、ひとえに声優を務めた新津ちせちゃんの力なんですよね。ちせちゃんは、映画『君の名は。』の新海誠監督の娘さんだと騒がれましたが、アキタが彼女をキャスティングしたのは話題になる前年のことです。ここにCD(クリエイティブディレクター)を務めたcatch福部明浩さんのクリエイティブのすごさを感じます。

最初、当社にアナウンサー出身の女性社員がいたので、その女性もオーディションで選考してほしいとかなり強く推していたんです。けれど福部さんは「いや、絶対にだめだ」と。そこまで自信を持って言われれば僕ももう任せるしかありません。福部さんを信じることが大切だから。結果、そのこだわりで選ばれたちせちゃんは、やっぱりすごい実力ですよ。CM発表の会見でも、出演タレントではなくて、声優のちせちゃんとして生アテレコに挑戦してもらいました。

—昨年ME部門でグランプリを受賞して、その後いかがでしたか?

山﨑:正直、今までACCの存在を知りませんでした。そもそもアキタが全国に向けてCM放映することが初めてのことですから。CMが話題になった経緯で「ACC賞というものがあります。エントリーしませんか」と言われたのがきっかけで、「きちんと理解できていませんが、お願いします」と。だから、受賞後に取材を受けたり、挨拶していただいたりして初めて「すごい賞をもらったのだなぁ」と気づいた感じです。

受賞で社会的な評価をいただいたと感じることは、例えば広島県知事にプレゼンに呼ばれ、県知事室を訪問しました。それから景気観測の対象企業として、日本銀行広島支店長が広島本社に来社されました。グランプリ受賞の影響はすごいなと。また広告チームとしては、広告関係の方々とのアポイントがスムーズに取れるようになりました。

関わりの薄い業界の大手企業の宣伝部の方でも、会いたいと言えば「もちろんです」と会っていただける。ACC賞の審査委員長でトヨタマーケティングジャパンの土橋代幸さんとも、食事をご一緒させていただくことができました。お会いして初めて「どういうことを考えて広告をつくっておられるのか」という感性に触れることができるわけです。その情報の蓄積が、我々にとっていつか何らかの形で力になると思っています。

そして売上は、CM放映を始めてから右肩上がりで伸び続けており、結果を出すことで評価されるME部門グランプリを裏付けできていると思います。おかげさまで、出荷の取扱件数は全国131社4万店舗を超えるほどになりました。関東および関西のエリアはほぼ網羅しています。また、いま話題の「Amazonフレッシュ」でも、アキタの商品の取り扱いが開始されました。いやー、ACC賞は獲るべきです。こんなに受賞を活用している会社ある!?というくらい(笑)。

—アキタさんの手腕がすごいのでは!

山﨑:ここまで来ると、交渉も上手にできるようになっていると思いますが、今までは「きよらグルメ仕立て」の商品説明やブランド価値を訴求することからプレゼンしなくてはなりませんでした。でもいまでは、この部分をプレゼンしなくても、ほとんどの皆さんにご理解いただけており、アキタ本来の強みである「安全・安心・新鮮」について、しっかりプレゼンすることができています。

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