「きよらグルメ仕立て」のアキタに聞く、ACC賞グランプリの効果

絶対に「Aチーム」でなければならなかった

—ME部門は、クリエイター個人というよりも、広告主とそのチームを表彰する部門です。そこでの受賞についてはどう感じられていますか?

山﨑:スティーブ・ジョブズの言葉を借りると、「Aクラス人材だけを集めた」んですね。それが今回の結果につながったと感じています。優秀さで人をランク付けしたとすると、Aが優秀ということ。チームの中にBが一人いると、Cの人を呼んでくる。CはDの人を呼ぶんですよ。そこにあるのは「まあいいか」という妥協。Aの人は、BやCの人と交わることを嫌がります。まあ面倒くさいところでもあるんですけど(笑)。

とにかく、妥協なく芯を貫き通してくれます。今回の方々もそうで、みんな優秀なトップクラスばかりです。私がまず福部さんを指名し、福部さんはアートディレクターや演出家を指名し、演出家がカメラマンなどを指名するといった感じでAクラス人材が集まりました。

福部さんとの関係ですが、私は昔からカロリーメイトのCMが好きで、そのことをパパ友に伝えたところ、福部さんの作品ということを知りました。そして、なんと偶然なことに、その友人は博報堂時代の福部さんの同期だったんですよ。それでつないでもらいました。

私たちはこのキャンペーンに背水の陣で取り組んでいて、これが失敗したら次のCMはないという状態でした。だから絶対にAクラス人材だけ集まったチームでなければなりませんでした。チーム全体がアキタの状態を理解してくれていたからこその、エフェクティブだったと感じています。

—クリエイターと仕事を進めるうえで意識していることは?

山﨑:「クライアントファースト」「倫理観に反しない」ということだけ。あとはお任せです。シズル感などはメーカーとして言わなければいけませんが、口出しすることがすべてとは思っていません。口出ししなくて済む人を集めればいいじゃないかと。口出しの必要が出るようであれば、それまでにかかった経費を払ってでもチームを解散させると思います。納得できないとダメです。クリエイティブによっては、私を説得しようとする人がいますが、説得されたいわけじゃなくて、納得したいんです。

—受賞前後で関係性に変化はありました?

山﨑:何も変わらないですね。受賞後の打ち上げで朝4時まで飲んだくらい(笑)。そのほかは別に会うこともないですし。ただ、「またつくります」となれば、いつものチームが集まれるようにしたい。「あのチームで集まって仕事がしたいな」と思ってもらえるような環境をつくることが、私たち広告主としての仕事だと思っています。

CM「すち子ママ篇」の撮影日に、出演している芸人のすっちーさんのマネージャーにこっそり、ネタに使われるあの棒(乳首ドリル)を持ってきてもらったんですよ。最後に「お疲れ様でした~!」というときに、棒をすっちーさんに渡して、監督に向かって持ちネタのコントをやってもらいました。巨匠の監督を相手にすち子ネタで、現場は大爆笑でした。スタッフが一丸となった瞬間でしたね(笑)。実は、撮影日まで、これを仕込むことばかり考えてました。また、「アキタと仕事したいなぁ」と思ってもらいたくて。

—楽しそうな現場ですね。

山﨑:最高に楽しいですよ。どの企業の現場より、楽しいと思っています。撮影には、最初から最後まで立ち会うので、きっと「うっとうしいな、帰ってほしいな」と思われているだろうけど、帰りません。責任者ですから。なぜなら、「trust is good, check is better」という言葉があります。信用することは良いことですが、確認することはもっと良いことですから。

—最後に、今期ACC賞にエントリーする方に一言お願いします。

山﨑:今年も、ゆずりません!

(ライター:矢島 史)

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