利用料金の安さも魅力
利用料金を調べてみると、摩拜(mobike)は30分たったの1元(旧機種:30分0.5元)、OFOは30分で0.5元、小 鸣 は30分で0.5元、Hellobikeは30分で1元でした。ちなみに、上海の地下鉄の初乗りは3元なので、それと比較しても気軽に利用できる価格設定になっていることをご理解いただけるでしょう。
このような低価格の背景には、事業者間の激しいシェア争いがあります。最近、ネット上で一枚のスマートフォンのキャプチャー画像が話題になりました。写真には24個の自転車シェアリングのアプリが表示されており、現在の激しい競争を象徴する一枚となっています。もちろん、事業者は自転車の軽さ、デザイン、乗り心地の改良など、様々な工夫しています。しかし、まず試しに乗ってもらうためには、やはり価格が重要なのです。
スマートフォンが変えた自転車の利用スタイル
これらのサービスは「自転車を探す」「予約」「決済」「開錠」といった主要な動作をすべてスマートフォンのアプリ上で行う、まさにスマートフォンやGPSなどのデジタル技術の発展によって誕生したサービスと言えます。その屋台骨を支えるスマートフォンの利用台数は2011年の3.6億人から2016年までに10.6億人に増加しました。
加えて前回も紹介しましたが、2009年あたりからネットショッピングが爆発的に普及したことで、中国の人々はインターネット上で個人情報を入力することに対する抵抗感が低くなっており、電子決済やオンラインでの買い物などが一般的になっていることも、自転車シェアリングサービスがここまで普及する一因となっています。
スマートフォンやデジタルテクノロジーの発展によって、再び脚光を浴びることになった自転車のように、今まであったものが、デジタルと結びついて新たな価値が生まれる、そんな機会がこれからどんどん増えていくでしょう。中国の自転車シェアリングの事例が、日本のみなさんの新たなビジネスのヒントとなれば幸いです。