「情報×情報」でイノベーションが生まれる
倉成:やはり、僕はコンセプトや概念を扱う仕事をするなら、「手法やツールは自分でつくろうぜ」と言いたいですね。
僕らは「目標の実現にはこの人が必要だ」「この人と仕事がしてみたい」と思う人を社内外から引き入れて、チームで仕事をしています。僕らみたいに広告の基礎とプロダクト、空間デザインの経験を持つ人間は、かなり少ないんです。そこで、総合プロデュース的な仕事を徐々に依頼されるようになりました。
「APEC JAPAN 2010」首脳会議の総合プロデュースや2011年以降の「東京モーターショー」の再復活戦略、世界最大の経済の国際会議「IMF/世界銀行総会」のジャパンプレゼンテーション、「佐賀県有田焼創業400年事業」の産業復活プロジェクトなどです。プロジェクトを実施する背景をしっかり握った上で、社内外の人材やクライアントのリソースを組み合わせて、プロジェクトのゴールを達成することが仕事です。
僭越ですが、手法こそ違いますが、カテゴリーは坂井さんとすごく近いのではないかと思っています。僕らはクリエーティブのシンクタンクではなく、インスパイアタンクだと言っています。
坂井:どんなメンバーがいるのですか。
倉成:8人のメンバーでスタートしたBチームは、現在40人になりました。例えば世界的DJやショートショート小説家など、それぞれバックグラウンドが違います。全員がリサーチをしなくても1次情報をくれる情報通で、一緒にいるとインスパイアされます。
電通に入社した時にイノベーションは「情報×情報」で生まれると習いました。その後仕事をする中で本当にその通りだなと思い、異なるジャンルの情報収集が得意なチームを立ち上げました。さらに集めた情報からコンセプトメークして、クライアントはもちろん社会に提供しています。
今、特に重宝されているのが、アイデアを生むオリジナルメソッドです。たとえば、「10ジャンル同時ブレスト」。Bチームのメンバーから10人選んでもらい、10ジャンルで一気にブレストし、超短時間で多視点のアイデアを生みます。超効率的です。ほかにも、クライアントの未来の商品が出てくるSF小説をみんなで書く「ショートショート発想法」、1人のためのプロダクトを生むところからはじめる「Prototype for One」など、今30個のオリジナルメソッドで、新しい何かを生みたい!という方々のお手伝いをしています。メンバーそれぞれの才能やクリエーティビティーを世の中のために発揮していくことが、Bチームが掲げるビジョンです。その情報収集の会議を「ポテンシャル採集」と呼んでいますが、そこに坂井さんは7カ月連続で来てくれているんですよね。
坂井:1回行けなくて、皆勤賞を逃したのが残念です。
倉成:どのメンバーよりも皆勤賞に近いですよ。坂井さんが、自分の好きな人たちと一緒に、まるで革命を起こすように仕事をしている姿に、すごくシンパシーを感じます。
Bチームも、それぞれが自分の好きなステージに立って、新たな仕事に取り組んで、成果を上げているのを見ると、すごくうれしい。「好きこそものの上手なれ」が、いかに効率がいいかということがよく分かります。
後編に続く
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