ACC賞ラジオCM部門 嶋浩一郎審査委員長×BRUTUS西田善太さん×ホフディラン小宮山雄飛さん 座談会「え、今ラジオ聴かないの?ラジオでしょう普通!」

ACCラジオCM部門の選考について

西田:初めてACCの審査をやったときに思ったのは、想定の100倍くらい真面目にしている。でもその中で、「とにかく楽しく聴くぞ」というムードができている。

小宮山:実際は、どういう風にやるんですか?

西田:去年は570本ですかね、それを半分にして2つのチームに分けて1次審査をするんですよ。
2部屋に分かれてやるんだけど、向こうの部屋の方が楽しそうだったりすると、すごい悔しくて「こっちも盛り上がるぞ!」みたいなことをするんだけど。

小宮山:みんなで決めるんですか?

西田:総合点で絞っていったりはするんだけど、個人的にどうしても入れたいという作品があったら、点数が低くても応援演説をして、ファイナリスト候補に残したりもする。それはもう1つのチームにも聴いてもらいたいから。

審査というのは、新しい面白さを見つける行為で、最初に聴いたときはなんとも思わなかったけど他の審査委員の人が、どう面白いのか説明しているのを聞いて「あ、このラジオCMはこういう意味があって、こういう面白さがあるんだ」という、そんなところが話し合いによって見つかり、段々と意味があるように感じ、次に聴くときは同じように聴けなくなる。

嶋:このラジオCMのセリフは不自然に聴こえるようでいて、実は一周回ってこういうセリフって、言うかも知れませんよね、みたいな。

西田:俺が「この設定にはリアリティないじゃん」みたいなことを言っても、みんな意見を言うのが上手いんで (笑)。ひっくり返される喜びとかもあったりしますね。

小宮山:すごい楽しみになってきた。

嶋:審査で一番大事なことは言語化ですからね。このラジオCMの音の入り方がいいとか、この間がいいとか、しっかり言語化していく。そうするとまた違う聴き方ができたりするようになるんです。  

西田:何人かがまとまって意見を言っている中で突然、僕が違う意見を言って、ベテランの人がこっちの味方になってくれたりとか。非常にエキサイティングな審査となっております。

次ページ 「ラジオCMの可能性」へ続く

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