ラジオCMの可能性
嶋:人を惹きつける力があるラジオというメディア。そしてラジオは今radikoでも聴けるようになった。ラジオCMにも新しい可能性があると思います。
西田:そうですね、昔80年代から90年代前半にかけては、コピーライターの新人賞はラジオCMの方が取りやすいといった傾向があって、僕も前職は広告のクリエイティブだったんで、ラジオは沢山書かされていました。
ラジオっていうのは声と音しかないから…本当は、あとそれに間があるんだけど。声だけで人を笑わせたり、面白がらせたりできるという、手づくり感がラジオCMの面白さかなと思います。
嶋:若手の仕事としていいサイズであると同時に、実は音だけでつくるというのはすごい技術がいるところですよね。
西田:ラジオは一人のアイデアで良くって、テレビCMは原案と演者と演出家がいたりとかして、演出家次第でCMがすごく変わってしまったりする。ラジオは下手すると一人でつくれてしまう。それって今っぽくないでしょうか、今のYouTuberみたいで。 そこを利用しない手はないなと思います。
小宮山:生放送の場合ですけど、ラジオのCMは出演者が絶対聴いてるんですよね。テレビだとその間のCMを見ることは、まずないと思うんですけど。だから出演者も番組も、CMとすごい寄り添っていて、前のCMを受けて次の最初に喋ることを変えてみたりとかもあって 。
西田:喋り手も聴き手と一緒に聴いてるってことだよね?
小宮山:そうですね、そこもラジオCMの面白さかなと。
西田:僕は、何回も聴きたくなるようなラジオCMが大好きですね。去年(2016年)のACCグランプリがすごく好きで、帰ってから何回も聴いた。エロいの(笑)。小宮山くんにぜひ聴かせてかせてあげよう 。大日本除虫菊さんの金鳥少年シリーズ。
※2016年総理大臣賞/ACCグランプリ受賞作品:大日本除虫菊「金鳥少年シリーズ」
西田:いいでしょ?
小宮山:これはいいですね。
嶋:この台詞回しがわざとらしいのか、かなり議論しましたよね。
西田:女の子の浴衣姿を見て「綺麗やん」じゃなくて「すごいやん」って言うのが可愛いよね。
小宮山:またこの間がいいですね。
西田:嶋審査委員長はラジオCMの長さについてはどう思う?このCMにはもっと長さが必要じゃないかとかあると思うんだけど。
嶋:短くインパクトのあるCMも、長尺のドラマ仕立ても、ともにつくり方によりますよね。長尺の例でいうと2015年の長谷川工業の「脚軽ブラック」のCMも面白かったんですよ。聴きましょうか。
※2015年ACCゴールド受賞作品:長谷川工業「誕生日篇」
小宮山:すごい、ドラマみたいですね。
西田:これは長いよね、120秒。
嶋:リスナーの頭に、ドラマのシーンを想像させちゃったらもう制作者の勝ちですよね。長いCMはどこまで想像力を連れていけるか、といったところに楽しさがある。どこに行くんだろう?と、思ったときにスコーンと落ちる。
小宮山:最後にオチというか、商品名が来るじゃないですか。あれがどこに来るんだろう、と思ってドキドキしながら聴いてしまいますね。