コラムでは、本書の編集に関わった博報堂DYメディアパートナーズ社員が、各メディアのトピックを紹介します。
◆SF映画の世界が実現可能に?
アウトドアメディア(ODM=交通・屋外・オリコミなどのメディア)でいま注目されている領域と言えば、デジタルODMでしょう。
ではデジタルODMとは何かというと、「アウトドアメディアのデジタル化」ということですが、「デジタル化」と一口に言っても、単に屋外の看板がデジタルサイネージに変わることだけを指しません。アウトドアメディアの「デジタル化」はデータ活用の方法、売り方、ビジネススキームまでも変化をもたらす可能性があります。
ところで、みなさんは、『マイノリティ・リポート』という映画を見たことがあるでしょうか?
2002年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督のSF映画で、2054年の近未来のアメリカが舞台です。もう15年も前に公開された作品なのですが、その中には我々が今後実際に体験するかもしれない近未来の生活がリアリティをもって描かれています。
たとえば(本編のストーリーとはあまり関係がありませんが)こんなシーンがあります。
トム・クルーズ演じる主人公がアパレルショップに入った際、3Dホログラムで投影されたバーチャルの店員が現れ、こう問いかけます。
「いらっしゃいませ○○様(主人公の名前)、先日お買い上げいただいたタンクトップの着心地はいかがですか?」
詳しい仕組みまでは作品では触れられていませんが、個人の購入履歴に応じたコンテンツの出し分けがシーンの一部として描かれており、例えばこれに近いことが、そう遠くない将来、屋外の媒体を使って実現可能になるのではないかと考えています。
◆様々な試みが進む「デジタルODM」
すでに、日本においてもアウトドアメディアのデジタル化の試みがなされています。
駅・屋外サイネージを使ったリアルタイム配信の実証実験や、タクシーサイネージにおける顔画像識別で性別に応じた表示回数保証の広告配信、デジタルの世界におけるアドネットワークのような仕組みをアウトドアメディアのサイネージで導入しようとする試みなどがその一例です。
それぞれが「リアルタイム」「インプレッション保証による売り方」「ネットワーク化」という意味でのデジタル化であり、すべてデジタルODMです。
今後、確実にこう言った動きが活発化してくると予想され、アウトドアメディア領域は、まさにフロンティアであり、今後ますます“熱い”領域になると考えています。
鈴木亮人
博報堂DYアウトドア
メディアユニット交通メディアグループ
兼屋外・サイネージメディアグループ