世界的なブランド「BenQ」、クチコミ戦略で日本での普及を狙う

インフルエンサー施策の限界からアンバサダープログラムへ

藤崎:アンバサダープログラムに、取り組む前の施策について教えてください。

下平:当社の店頭販売が少なくなったため、新しい発想で広告やプロモーションに取り組みを始めました。その一つにインフルエンサーに製品を紹介してもらい、その声を集めて「まとめサイト」にする企画がありました。店頭で触れる機会がほとんどなくなってしまったため、レビュー記事を参考にして、自分の使用イメージと重ねてもらう狙いです。

藤崎実氏

藤崎:なるほど。徐々に、クチコミ重視になってきたのですね。

下平:もともとBenQは日本では知られていないブランドのため、クチコミの重要性は店頭販売していた当時から高かったですが、ネット販売の比重が大きくなってからは、より重要になってきました。ただ、そうした施策を続けて実感したのは、インフルエンサー施策は残念ながら、単発での取り組みになってしまう点です。

藤崎:単発での限界ということでしょうか。

下平:私たちの課題は、大きく3つありました。1つ目は「長期的な視点」です。本来クチコミは継続が大切です。同じクチコミ領域で力を入れるなら、単発で終わってしまうインフルエンサー施策ではなく、長期的な視点で取り組んでいきたいと考えていました。

2つ目は「ブランドのファン育成」です。製品に興味を持っていただいた人には、せっかくですので、できればBenQブランドそのものにも興味を持ってもらいたいと考えていました。つまりブランド全体を考えた上でのBenQブランドのファンづくりです。そのためにはブランドをよく知ってもらうような特別な取り組みが必要でした。

3つ目は、「ファンとの継続的で緊密な関係づくり」です。インフルエンサー施策を行っていたとき、すごく良い体験をされたユーザーがいたのですが単発の取り組みでは彼らとの関係が一度限りで途切れてしまいます。それは企業としたら、もったいないことです。彼らと継続的なコミュニケーションを行うことで、もっと彼らとの距離を縮めて、深い関係づくりを行いと考えていました。アンバサダープログラムを始めた理由は、これら3点の課題解決にも繋がっています。

藤崎:やはり長期的な視点が重要なんですね。

次ページ 「ユーザーはクチコミを頼りにしている」へ続く

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藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

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