ユーザーにブランドを日常の一部として体験してもらいたい
下平:私たちはユーザーの方に、BenQブランドのクオリティを体験してもらい、生活の変化を実感してもらいたい、という考え方が基本的にあります。そのきっかけとして、製品を体験してもらう「製品モニター」があり、製品モニターをまだ体験していない人に向けてのレビューがある、と考えています。
藤崎:最初に行ったディスプレイの「製品モニター」施策には反省点があったそうですね。
下平: はい。最初のモニター施策ではユーザーへの貸し出し期間は、当社の都合で2週間でした。しかしユーザーのみなさんが自分の家で使い初めて、そのディスプレイがある程度日常に馴染んで生活の一部になるまでには、やはり1か月くらいは必要だったのです。
実は使い始めて「すごく良い」という声が発生したのですが、2週間だと、すぐに返さなければならないので、あっという間に返却日になってしまい、「残念」「もっと長くしてほしい」という声が多く集まってしまったのです。
私たちとしては新しいディスプレイが家にあることによって、自分の生活がどのように変わるのか、その変化を体験してもらいたかったのですが、最初の施策ではそこが十分に達成出来たとは言えず、反省点となりました。そこでそれ以降は貸し出し期間を1カ月にしました。その結果、その変化を実感したユーザーの方々から、モニター製品を返却して元の環境に戻ると、ちょっと物足りない気持ちになるという感想もいただきました。
藤崎:BenQのディスプレイが生活の一部になることで、自分の生活が変わったというのは、すごいですよね。まさにリアルな体験が重要ということなんですね。
成功要因は潜在ニーズの堀り起こし
藤崎:そもそもユーザーはBenQのディスプレイやプロジェクターをどういった用途で使うことが多いのですか。
下平:当社は製品カテゴリーの幅の広さが特徴です。例えば、液晶ディスプレイでもデザイナー向けや、eスポーツ向け、カラーマネジメント向けなど。プロジェクターでも、ホームシアター向け、学校向けやビジネス向けなど、いろいろなものがあります。その中で、アンバサダープログラムとして最初にモニター施策を行った「カラーマネジメント」のディスプレイがわかりやすいので、こちらを例にしてお話させて頂きます。
ご存知のように、カラーマネジメント用ディスプレイとは、ディスプレイの色とプリンターから出力した印刷物や写真の色味を正確に合わせるためのものです。写真を趣味にしている方や広告の写真など、微妙な色が重視される所ではとても重視されています。従来、こうしたディスプレイはプロ向けという位置付けでした。
実は当社は2年ほど前に同じような製品を出したのですが、正直あまりうまくいきませんでした。理由は日本でカラーマネジメントのディスプレイを扱う業界トップのメーカーに対して、正面からぶつかるカタチで、少し価格を抑えた価格メリット訴求になってしまったことだと考えています。
その反省点を踏まえ、今回の製品はどうすればユーザーの需要を掘り起こせるかというところがポイントでした。
藤崎:実は再挑戦だったという点が興味深いです。