受賞を機に認知拡大へ期待
6月24日に閉幕したカンヌライオンズ2017。日本勢で唯一、グランプリを獲得したのはリクルートライフスタイルの「THE FAMILY WAY」(モバイル部門)だ。グランプリだけでなく、モバイル部門ではゴールドとシルバーを同時受賞、またジェンダー差別に立ち向かう、優秀なキャンペーンを表彰するグラスライオンズ部門では日本勢初のブロンズ受賞となった。
多くのカップルが不妊に悩む中、その原因は女性側にあると思われがちだが、もし男性側にあったとしたら・・・。そんな気付きを与えるためのツールとして開発されたのが精子の濃度と運動率が測定できるサービス「Seem(シーム)」だった。正確な診断には、医療機関での検査が必要だが、男性側の精神的ハードルはかなり高い。そこでリクルートライフスタイルはスマートフォンを活用して簡易チェックできるツールを開発、さらにこのツール利用促進のため啓発活動を併せて展開している。
今回、同プロジェクトのコミュニケーションプランを統括したリクルートコミュニケーションズのインテグレーテッド・デザイン・オフィス長・萩原幸也氏は、同プロジェクトのカンヌライオンズへの出品について次の目論見を持っていたという。
「『Seem』は可能性を秘めたサービスですが、リファーラル(紹介・推薦)されづらい商品特性を持っています。世界的アワードで評価されることで、ひとりでも多くの人に知っていただければという気持ちがありました」
不妊の原因の約半数は男性にある
また「Seem」の開発責任者であるリクルートライフスタイルのネットビジネス本部事業開発ユニット ビジネス開発グループの入澤諒氏は、今回のグランプリ受賞という評価に対して、以下のように語った。
「『不妊の原因の約半数は男性にある』という事実はあまり知られておらず、女性が一人で妊活や不妊治療を行うケースも少なくありません。そういった課題に対する『Seem』の取り組みが世界でも共感され、評価していただいたことはとても嬉しいです。これをきっかけに、『はじめからカップルで一緒に取り組む』という新しい文化を日本から世界にも拡げていきたいです」