BenQ の日本戦略、クチコミ効果で製品が品切れになったことも

クチコミの相乗効果でブランド価値を底上げしたい

下平:ふたつ目は、「BenQブランドの価値向上」です。

もともとBenQブランドの認知度向上は意識していましたが、アンバサダープログラムに取り組んでからは、ブランド価値を上げるというさらなるステップアップを目指しています。

具体的には、BenQブランドは今まで「安いイメージ」あるいは「安いけど意外とクオリティが高い」という位置づけで支持されていた傾向があります。今後はそのポジションを引き上げて「価格が多少高くてもBenQブランドを選んでいただける」という形にしていきたいと考えています。

藤崎:具体的にはどういうことでしょうか。

下平:BenQの特徴として製品ラインナップの豊富さがあります。特に最近は高付加価値モデルも増え、用途によってバリエーションが豊富です。例えば同じディスプレイというカテゴリーでもゲーム用とカラーマネジメント用などがあり、それぞれの製品にファンがいます。ですので、それらのファンを大切にすることでクチコミの相乗効果を期待しています。

その先の目標としてはBenQブランドそのものの価値を上げたいと考えています。ユーザーの色々なニーズに高いクオリティで応えるBenQブランドというポジションを築けたらと思っています。

ファンとのプロモーションは台湾本社からも評価

藤崎:台湾本国からのアンバサダープログラムの評価を教えてください。

下平:本社からの評価は非常に高いです。それは最終的に販売につながっているという点が大きなポイントです。ファンを巻き込んでプロモーション活動をする日本のアンバサダープログラムは成功事例として海外でもシェアされています。

藤崎:それはすごいですね。

下平:ただ国によって、インターネットやFacebookなどの利用の仕方や規模も違いがあるので、日本のプログラムが他の国でもそのまま応用できるかというと、また話は違ってきます。

藤崎:やはり各国で状況が違うんですね。日本の特徴はどういう点ですか?

下平:日本はアジア地域の中でも成熟した市場です。消費者のモノを見る目も厳しく、競争企業もたくさんあります。そこは本社も分かっているので、例えば日本で新製品が成功すれば、他の国でも大丈夫だろうという見方にはなっています。

藤崎:確かに日本人の要望は細かいし、市場環境は厳しいと思います。だからこそBenQさんの事例は大変参考になると思います。

次ページ 「ファンと一緒にブランドを育てたい」へ続く

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藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

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