BenQ の日本戦略、クチコミ効果で製品が品切れになったことも

大切なのはファンやユーザーの声を聴くこと

藤崎:最後になりますが、下平さんにとって「顧客視点」とは何ですか?

下平:なかなか広義で難しい質問ですね。

ただ、ひとつ言えるのは、それぞれのコトやモノが日本のユーザーに合っているのかどうかを必ず考えるようにしています。本社の意向や製品の方向性というものもあるのですが、やはり海外と日本では環境や習慣も違いますので、そのままユーザーに向けても自分の生活での利用シーンを想像できない場合もあると思うのです。

ここは様々な要因でブレがちになることも多いですし、実現がなかなか難しいこともありますが、ここのコアな部分はいつもブレないように心がけています。

ですので、その製品を使って生活がどんな風に楽しくなるのかは、アンバサダーさんに実際に製品を体験してもらい、彼らの感想や何気ない会話を重視することが大事だと思っています。そこからその製品の真のニーズが見えてくるのではないかと思います。要するにファンやユーザーの声をしっかり聴き、それを中心に置いて進めていくことが、顧客視点なのだと私は思っています。

藤崎:前回のお話にあったように、製品のモニター期間を2週間から1か月に延長することにしたのも顧客視点を重視したからだと思います。

下平:確かにそうですね。企業側の理屈では、モニターの回転率を考え、短期間でモニター期間を終わりにしたほうが、体験できるユーザー数を稼ぐことができます。

しかし、そう考えて実施した最初のモニター施策の反省点は、「製品は良かったけど、もう少し試してみたかった」という声がすごく多かった点でした。それでは意味がないと考えて、次からユーザーの生活に一部になれるように期間を伸ばすことにしたのです。

藤崎:モニターを試された方は、おそらくBenQさんのユーザーを大切にする意思を感じていると思います。そうしたユーザーの視点に立てることが素晴らしいと思いました。貴重なお話、ありがとうございました。

次ページ 「今回のポイント」へ続く

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藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

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