広告もコンテンツとして“見られる”必要がある
番組宣伝スポット映像の制作も、プロデューサーである福岡氏の担当業務だ。6月4日放送の「通訳者・橋本美穂」篇のスポットを例に、演出のポイントを説明した。
「ほんの15秒間とはいえ、カットにはメリハリをもたせること。また、その人のどこにスポットを当てるか絞り込むことは、番組コンテンツ同様に大切です。例えば橋本さんなら、すごい勢いよく英語を話している様子を写し出すだけで、すごいことが伝わります。また、ナレーションは少なければ少ないほどいいですね」
広告であっても、コンテンツとして見る人を惹きつける魅力的な見せ方を不可欠だと福岡氏。これを受けて金谷氏は、広告の内容・表現に加えて配信方法を工夫することで、より“見てもらえる”動画広告になるのではと提起した。
「広告は、ユーザーが見たいものを邪魔しないことが何より重要だと思います。ユーザーが使っているデバイス、つまりスマートフォンの画面で視聴することを念頭に置いてコンテンツをつくり、ユーザーが閲覧している画面に自然に溶け込ませることで、“見てもらえる”のではないかと考えています」
popInが提供する縦型動画広告制作・配信サービス「popIn Vertical Video Ads」は、縦型フォーマットならではの表現と、メディア内の記事下という表示位置に特徴がある。2016年のサービス開始以来、エンターテインメント関連企業を中心に100以上の動画広告を制作、配信してきた。
「横型に比べ、縦型は広告全体の面積が圧倒的に広い。インパクトがあるのはもちろん、文字も読みやすいです」と金谷氏。縦型と横型で比較をすると“再生完了率”“CTR”“全画面再生率”すべて縦型のほうが高く、認知率や購入意向も縦型のほうが高いことが調査結果で分かり、横型より縦型のほうが“見られる”だけでなく、広告効果も高いことがデータからも明らかになっていると説明した。
最後に福岡氏は、コンテンツとして見られる広告をつくるためのポイントについて、次のように話した。
「『密着』『舞台裏』『挑戦』のような、ありきたりの宣伝ワードを使わないこと。『情熱大陸』に関して言えば、この3つはどの回にも当てはまる要素で、まったく印象に残りません。また、番組も番組宣伝スポットも、“セオリー”をいかに崩していくかが重要だと思います。例えば15秒のスポットの中で複数のカットを重ねて構成するのではなく、1カットでつくったり……。コンテンツはともすると定型化しがちで、それは視聴者からすぐに見飽きられてしまいます」
番組コンテンツだけでなく、動画広告についても、見る人を惹きつけるためにつくり手が絶えず創意工夫することが重要と話し、セッションを結んだ。
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