ヤングカンヌ フィルム部門体験記 — カンヌライオンズ2017レポート

結果発表

結果としては3位以上になれませんでした。

1位のブラジルの作品はメッセージを音楽にしており、とてもシンプルなものでした。バンドとダウンロードバーが画面に映されているなか、「I can’t be without you. I can’t make it by myself.」(確かこのような歌詞)というメッセージをボーカルが歌い、ダウンロードが進むにつれて、ギター、ベース、ドラムと次々に人が消えていき、「みんなは音楽を必要としている。音楽はあなたを必要としている」とコピーが入るものでした。かっこよかったです。

最初こそ、シェアや議論につながるのかな、と思ったものの、帰国の荷造りをしている時に、この動画の歌をうっかり口ずさんでしまっていて、そういうことか〜と思いました。そういうものを自分たちが出せなかったのは悔しいですが、とにかく1位すごいなぁと思いました。ブラジルから学んで頑張ります。

2位のフランスの作品は、路上ライブしている人のお金を、人が奪い去っていき、「オンライン上ではこのようなことが起きています」と伝えるものでした。

3位のスロバキアの作品は、音楽を聴いている人のイヤホンから血が流れ、「音楽が苦しんでいる」と伝えるものでした。

100万回再生、シェア、物議、ハッシュタグ、などいろいろ悩んでいたので、正直なところ2位、3位が発表された瞬間は、「なんだ、それでよかったのか」と思ってしまいました。

3チームともクラフト感もあり、クオリティの高いものでしたが、結局、議論が起こるか、拡散されやすいかというよりは、シンプルに絵だけで伝わるものが評価されていました。

他国の出場者も、私たちと同じようにKPIに応えようと試行錯誤していたようでしたが、結局シンプルな案が勝ったため、オリエンすべてに応えなきゃと思いすぎて、取捨選択できなかったことが反省点だったなと思いました。

結果発表を待っている会場の様子。

ポッと出では勝てない

今回のヤングカンヌを通して、2人ともまだまだ未熟であることを痛感しました。質の高いアイデアを短時間で出す能力。締め切りから逆算して決めきる判断力。それを最大限伝わるようにアウトプットまで持っていくディレクション力。キャストのドタキャンなど思いがけない条件下での対応力。現地に行くまで準備もしていたし、十分にわかっていても、思い返すとなかなか出来ていなかったなと思ってしまいます。

今まで、賞は賞、実務は実務、と思っていたのですが、今回いろんなところで判断に迷ったときに、仕事で先輩が言っていた言葉や、局の研修で習ったことを思い出しました。上に誰も先輩がいない状況で撮影まで行う経験を通して、実務での自分の課題もたくさん発見することができたような気がします。帰ってから活かしていきたいです。

世界の壁、言葉の壁

他の部門を見ても、アジア勢はほぼ上位に入れておらず、比較的英語圏の国が上位に選ばれている印象でした。英語が十分に使いこなせないからこそ、シンプルに考えることが出来るとも思うのですが、言葉を知っていてシンプルに考える方がやはり良いです。ワールドインサイトかどうかを判断できるのも、世界の潮流や問題に対して日本にいる視点以外で捉えるにも、やはり英語は必要なツールだと感じました。

次ページ 「さいごに」へ続く

前のページ 次のページ
1 2 3 4 5
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ