理念と仕事の接点をつくる
発表から1年が経過し、新しい経営理念が社内に少しずつ浸透している実感があるという。西田氏は「様々な年代・役職の社員が共感できるよう、多様な言葉で表現されていることが大きい」と分析する。理念の中で社員が特に接点を持つのが、日々仕事をするうえで行動の拠りどころとなる、バリュー(価値観・行動指針)の“7 Actions”だ。「当初は、『新しい言葉ができたらしい』程度の認識だったと思います。その後、社員総会や社内報を通じて理念と接点を持つたびに、言葉の意味を考えてみたり、自身の仕事に後付けしてみたり、少しずつ咀嚼しているのでは」と、西田氏は考えている。
今後は、経営理念で掲げる内容をどのように実現していくのか、社員がよりイメージしやすいよう可視化にも取り組んでいくという。国内外の事業所で働く社員や、新しく入社してくる社員が同じ思いを共有できるよう、今後も経営理念の浸透に注力していく。
理念づくりのプロセスそのものを変革や浸透の第一歩として活用する
理念やブランドを策定する場合、「どのような言葉をつくるか」がゴールになりがちです。もちろん言葉は重要ですが、それらに社員が納得感と共感を持ち、現場での体現行動につながらなければ意味がありません。
策定のプロセスからいかに従業員を巻き込めるか。基本のフレームはありますが、企業文化や風土に応じた柔軟な設計が必要です。今回のプロジェクトも、ワークショップの進め方を当初の設計から修正しています。まずはメンバーが変化に前向きになり、本気になること。「社内に同じ志を持つ仲間がいることが分かり、つながれたことが一番の収穫」という感想が印象的でしたが、このような新しい関係性が生まれること。こうしたプロセスが浸透の第一歩であり、プロジェクトメンバーを理念の伝道師へと変えていきます。
プロジェクトメンバー以外も、何かしらの形で巻き込みを図ります。今回は全社員を対象に、理念に関する現状調査を実施。社内報では、背景や目的、プロセスを発信しました。ビジョンや行動指針を具体的にイメージさせ、現場での行動シーンをストーリー化してみるワークショップを実施することもあります。一方的な発信ではなく、一緒につくりあげたり、個人のビジョンと接続したりする「シェアードビジョン」によって、目指す世界にワクワクし、実現したいという思いが生まれます。
社内展開の際に、経営の本気度を感じさせることも重要です。方針や経営計画への反映、マネジメント層への浸透、評価制度など、一気通貫させます。今回は社名ロゴも変更し、強い決意を示しました。バリューのアイコン化も、理念を言葉づくりで終わらせず、日常のビジョン体現行動につなげる大事な仕掛けなのです。
ゼロイン
取締役副社長兼COO
並河 研(なみかわ・けん)氏
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年、ゼロインの取締役に就任。
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