開校のきっかけはお客様との「お便り」文化から
藤崎:そもそも、「じゃがり校」が立ち上がった経緯を教えてください。
松井:スナック菓子の「じゃがりこ」は1995年発売です。まだインターネットが普及していない頃に登場した商品ですが、当時からファンとのコミュニケーションをすごく大切にしていました。その一つとして、発売当初から今でも続けている、手書きでいただいたお便りには、手書きのお手紙でお返しする、という習慣があります。
藤崎:どんな手紙が来るんですか?
松井:一言では言えないくらい、様々なお便りをいただきます。お子さんからご年配の方まで年代も幅が広いです。「じゃがりこ」のキャラクターであるキリンを書いたもの、食べた感想がぎっしりと書かれたもの、がっかりしたというお叱りの声、新しい商品のアイディアなど内容は様々です。手書きのお便りには、すべて私たちも手書きのお手紙でお返事しています。
平均して月に20〜30通ほどいただきますが、「じゃがりこ」の担当者は全員、お手紙をお返しすることを経験します。これは特に、新人が最初に経験することが多い仕事ですが、お客さまが商品に対してどのようなことを感じられているのかを学ぶことができます。また、お返事を書くのにも商品知識が必要ですから、私たちにとっても商品理解を深める機会となっています。
藤崎:発売当初から、今も続けているということが素晴らしいですね。
松井:そして、「じゃがりこ」が発売から10周年を迎えた2006年に、当時のブランドマネジャーがインターネットの可能性に着目しました。一人ひとりのお客さまにお手紙を書いてきた文化を踏まえて、今度はインターネットを使って、より多くのお客さまと双方向のコミュニケーションを取ることができないか、と考えたのがきっかけなんです。
藤崎:なるほど。手紙を使ったお客さまとの交流をネットでもできないか、今までしてきたことを新しいテクノロジーでさらに拡張できないかと考えたわけですね。
ちなみに2006年はいろいろと節目の年として有名です。例えば2006年にグーグルがYouTubeを買収します。WordPressはまだバージョン2で、個人が気軽にネットで発信できる時代ではありません。ただ、私も覚えていますが、確実に時代が変わる気配がありました。実は私もネットの世界に積極的に入って行ったのが2006年です。当時のブランドマネジャーも、時代の波を感じて新しいことに取り組んだのだと思います。
松井:当時は、FacebookやTwitterのような、気軽に企業が取り組めるSNSも普及していませんでした。今から思えば、随分早い段階でファンとのコミュニケーションに取り組んだと思います。
藤崎:「学校」という仕組みを採用したのはなぜですか?
松井:ファンが集う場所として何をモチーフにしようか。企画当初は「謎の会員組織」や「じゃがりこ星」など、いろいろな案があったようですが、「じゃがりこ」は商品のコンセプトでもある「独自の楽しさ」を大切にしており、パッケージでもダジャレを使っていました。そこで、学校をテーマにしたサイトにして、商品名にかけて「じゃがり校」が面白いんじゃないか、ということになったようです。そして2007年春に正式に開校しました。