「知識」「デザイン」という強みに
「テクノロジー」を組み合わせる
紙媒体の制作からスタートし、現在、同社はWebやCGを使った動画など、“自動車”という1つのコンテンツを通して、さまざまなアウトプットを生み出している。クリエイティブディレクター 栗林洋平さんはコピーライターというバックボーンをWebや動画制作にも活かしている。「大切にしているのは“お客さまに商品の魅力をわかりやすく伝えること”。そのための表現や媒体は問いません。“知識”という武器をベースに、職種や肩書きを超えてさまざまな案件に挑戦できるのが弊社の特徴です」。
CGIプロデューサー 明神正樹さんはSUBARUから「カタログの写真に3DCGを活用できないか」と依頼を受けたことをきっかけに、社内での3DCGの取り組みを本格化させた。現在制作しているのは、セールスをサポートするいわば“デジタルショールーム”。車の画像を載せるだけでなく、背景やボディカラーやグレードをスムーズに変更できるシステムを構築した。
「長年、紙のカタログ制作で培った商品への知識とデザイン力という強みがあるから、そこに“テクノロジー”を組み合わせることで、時代に合わせた新たなクリエイティブを生み出すことができていると思います」。
活躍の場も国内から海外へと広がっている。アートディレクターの佐藤未歩さんは現在は海外のモーターショーのブランドブックや中国向けのカタログのデザインを担当している。「実際に現地へ行って、自分なりに感じたことを入れ込みながらつくっています。文化の違いなどで難しいと感じることもありますが、国や媒体によって、より良い表現は何かを考える面白さは大きいです」。
また紙媒体だけではなく、商品や技術の解説動画の海外バージョンの制作など海外案件も増えており、2014年には中国・北京に支社も開設している。
「クライアント直」という仕事スタイルをとるフェロールームでは、SUBARUの宣伝・ブランド担当者だけではなく、技術者など現場の人たちと向き合うことも少なくない。「弊社には営業もいますが、普段の仕事は営業も挟まずに担当者と直接やり取りすることがほとんどです。意欲溢れる担当者の方と対話を重ねることで課題を見つけたり、新たな仕事が生まれることも多く、自分のスキルとやる気次第で仕事を広げることができます」(高橋さん)。
自動車広告黎明期から新しい表現に挑んできた57年の伝統、新しい挑戦から生まれた革新──。フェロールームには、それらが融合した新しいものづくりの場ができあがっている。
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