未完こそが完成。完璧じゃない人のほうがモテるから
椎木:今後ラジオや広告を使って新たに仕掛けようとしていることや、目指すビジョンはありますか
森田:僕が目指したいのは、“コントロールされたバグ”です。バグって予測不可能なんだけど、緩やかな力でメディアや広告やコンテンツを追い込んでいって、バグをコントロールしたいって感じです。本来バグをコントロールするなどできませんが、でもできないところがミソ。これがこれからのメディアや広告のありかたとしてキモだと思ってます。「SCHOOL OF LOCK!」も実はコントロールされたバグの連続なんだよね。
椎木:へー、どうしてですか?
森田:「青春時代」って、急に泣いたり笑ったり、突然学校来なくなったり、まさかの合格不合格や、告白したりされたり、予期せぬドキドキが起こりやすいでしょ。予測不可能なことだらけ。その「バグ=青春時代」そのままをメディアとしてコンテンツにしてる感じ。
番組という装置を使ってリスナーが好きな子に告白して、偶然聞いてた相手とまさかの付き合うことになるとか、青春時代に起こりそうなドラマチックなことを「青春群像」=予期できないコンテンツとして届けてる。それを脚本家が書いたり、方程式通りに番組を作ってちゃダメで。あくまでも未完なものがある種「完成」だと思うわけです。すごくイケてるんだけど、だらしない男の子の方が魅力的だったりしない?「なんで里佳、アイツのこと好きなの?だめ男じゃん?」って。
椎木:はい、よく言われます(笑)。完璧じゃない人のほうがやっぱりモテますよね。
森田:でしょ。デジタルの世界ってプログラミングされてるからどうしても完璧を目指してしまう。でも「葛藤」が生まれないとエネルギーは生まれないし、「非効率」こそとても美しいエレメンツだと思ってます。目に見えなくてだいぶ不器用なラジオこそが、実はそういう意味では完成に近いメディアで、僕にとっては一番心地よい。だから目指すビジョンって言ったら、“よりプリミティブに”と“コントロールされたバグ”ってところですかね。わかりにくいですかね、うーん、もっとポップに話せばよかったかなあ。「radikoで聞いてくださいね☆」みたいな(笑)。
椎木:あははは。いやー、とってもポップでハッピーでしたよ(笑)。ありがとうございました。
インタビュアー:河辺さや香