クライアント実績よりも、R&Dへの取り組みがプロダクションのプレゼンスを上げる
今回、DDD+OFFFというイベントから、今のデジタルクリエイティブシーンを探ってみました。上記に紹介した以外にも、素晴らしいプロダクションやクリエーターがイタリアに集まり、1つのイベントで世界中のプロフェッショナルのトークを聞いたり、ネットワーキングできるのはクリエイターとして大きな刺激になるし、自分が一体どこのレベルにいるのかを測る尺度にもなります。
日本でこういったイベントが開催しにくい背景に言語の問題が大きいと思いますが、DDDに関しては英語がネイティブではないイタリア・ミラノという場所にも関わらず、英語とイタリア語のプログラムを別の会場を分けて同時開催するなど、イタリアのデジタルクリエイティブを活性化するためのコミュニティを形成し、国際レベルまで引き上げようとしてる部分が非常に参考になりました。
普段、こういったイベントに参加する際は個人的に2つの点にフォーカスしています。1つ目が世界のプロダクションがどこに向かっているのか、2つ目が仕事の仕方とワークライフバランスです。
もう少しブレークダウンすると、デザインのトレンドや使っている技術などの、制作に関わるミクロな視点と、挑戦・開拓している新しい領域や強めている分野などのマクロな視点、そういったことを実現するための社内マネジメントな視点を聞くようにしていて、特にネットワーキングではそういった話をすることが多いです。
そこで得られたものを、自分たちの現在やっていることと将来やりたいこと、世の中のニーズと合わせて、デザインチームの役割や体制、デザインプロセスを整備することで仕事にフィードバックしています。
今回の参加で感じた課題感として、クリエイティブにおけるR&Dは基本的に個人に委ねられていましたが、会社として戦略的に取り組んでいるところが多く、そこで得られた経験や技術を、セルフプロジェクトとして形にして世の中にアピールしているところが増えてきている印象でした。
今までは、クライアントワークでの実績が会社のプレゼンスを維持させていましたが、今後は流動的になっている優秀なクリエイターをどうやって確保していくか、向かっていきたい領域にどうアピールしていくか、という部分をR&Dに注力することで、プロダクションとしてのプレゼンスを上げていくことが求められるのではないかと思います。