カルビーには「お客様の声」に耳を傾ける企業精神が根付いている

問い合せの声から復活した「たらこバター」味

松井:ちなみに、最近リニューアルした「たらこバター」味は、実は過去に一度終売した商品なんです。ところが、「なくなってしまってさみしい」「再発売してほしい」という声が、かつてないほど集まりました。私たちとしてもその声に驚いて、最初はコンビニエンスストア限定で再発売を行い、その後に全面的に定番化した商品です。

藤崎:まさにお客さまの声が届いて再販売になったのですね。ファンとしてはうれしいと思います。

※じゃがりこ「たらこバター」のパッケージ写真

松井:フレーバーに関するお問い合わせはもともと多いのですが、「たらこバター」味に関しては、再発売を求めるお声が通常の8倍の約800件も寄せられ、私たちも売れるかどうかより先に、まずはお客さまの声にお応えしなければという気持ちになりました。

藤崎:お客さまから、そのような熱烈な要望が届くブランドはメーカーからすると、たいへんなこともあるかもしれませんが、本当にうれしいものでしょうね。

松井:ブランド担当の冥利に尽きます。お客さまあってのメーカーですから。

顧客視点とは「企業が視野を広くもつ」こと

藤崎:最後に、松井さんにとっての「顧客視点」とは何でしょうか。

松井:つくり手側だけの狭い視野だけでなく、お客さまの声をよく聞き、幅広い視野を持つこと。そして最終的には、お客さまのためを考えたことを実行する、というのが一番大事だと思います。

藤崎:売り手の独りよがりにならない、拝聴する姿勢が大切なんですね。拙著にも書かせていただいたのですが、カルビーさんの場合、お客さまが直接口にする、ごく身近な商品を扱っているからこそ、顧客視点を大事にしているのだなと思いました。

そしてもうひとつ感銘を受けたのが、お客さまと会社の距離がとても近いということです。お客さまの声が届くだけでなく、カルビーになら私の意見も言いやすいというか。お客さまとの接点や距離感を近いものにしようと、日々努力されている姿勢を感じました。普通はなかなか難しいと思います。

松井:そのように思っていただけるのは、本当に嬉しいことです。お客さまとの接点を大事にすることによって、商品をつくるヒントをいただけます。実際のところ、もし私たちがお客さまからの声を聞いていなかったら、本当にみなさんに喜んでいただく商品がつくれたのか、あるいは本来やるべきことが見つかっただろうか、という気にさえなります。

藤崎:徹底的に耳を傾け、顧客の声を拝聴するカルビーさんの真摯な姿勢が、ブランドの成功に直結していると感じます。本日は貴重なお話、ありがとうございました。

次ページ 「今回のポイント」へ続く

前のページ 次のページ
1 2 3 4 5 6
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ