紙の雑誌の可能性を使い切れ!3号連続完売『レタスクラブ』復活の舞台裏

1)自由に発言する空気を作る
まず、編集会議をブレスト形式に変えた。みんなの発言をどんどんホワイトボードに書いて可視化する。押し黙るメンバーには、「間違ってもいい。正解はない。だから思ったことを言ってみて」と促し、自分の意見が即企画に反映される実感を持たせた。

例えば、夏に発売する号の企画会議では、「夏と言えばどんなイメージ?」と問いかけ、どんどんキーワードを出していく。「暑い」「子どもが家にいる」「台風で野菜の値段が高くなる」「ご飯をつくりたくない」など、何でもいい。夏の企画を冬に考えていると、どうしてもリアルな季節感とかけ離れてしまうから、これはリアルな夏の感覚を取り戻すための試みだ。

これまでは、「去年の号はこうだった」と昨年ベースから発想していた。それでは新たな企画は生まれない。去年の踏襲ではなく、リアルな季節感や読者ニーズから企画を発想してもらいたいと思った。キーワードやテーマ、方向性をざっくり見つけ、あとは誌面として実際に表現できるのか、経験豊富な編集部内の料理班・特集班が検討し、判断する仕組みだ。

4月25日発売号の「手間なしおかず」は、まさにそのようにして生まれた特集。「GW中に売れる企画って何だろう?」から発想し、連休にまつわる主婦の悩み(家族と出かけてへとへとに疲れているのに料理を作らなければいけないetc.)から考えていった。それまでレタスの特集は“素材切り口”がほとんどだったが、これは「へとへと」という感情と共感をベースにし、新しい企画になった。

「手間なしおかず」特集。「買い物がいや」「包丁を使いたくない」「片付けがいや」など、「料理がいや」な気持ちをブレイクダウンして、解決するレシピを紹介。

2)雑誌の危機的状況を認識させる
POSや実売率をつまびらかにし、メンバーにも共有した。数字を「自分ごと」化することを心がけた。

3)読者調査をし、リアル主婦の悩みやつまずきを探った
私達のように出版社で1日働いていると、リアルな読者の生活は見えなくなってくる。

彼女たちが何に悩み、ジレンマを感じているのか、じっくり取材しレポートで共有した。

現在、私は次の3つの方法で読者の声を聞いている。

①リアル読者のコミュニティ「レタス隊」。LINEなどで、これから行う特集テーマを投げかけて意見を聞いたり、商品モニターや月1回のミーティングに参加してもらう。

②息子が所属する野球部のお母さんたち。よりカジュアルにお母さんの生活を知りたいときに協力してもらっている。「(片付いていない)部屋の写真を送って!」と言うと赤裸々な写真をばんばん送ってくれる。気兼ねない関係なのがいい。困っていることや愚痴もどんどん聞かせてもらう。

③誌面で募集する各号ごとの読者アンケート。Twitterエゴサーチ。

次ページ 「4)「思い込みを捨て、思いつきを拾う」発想の転換」へ続く

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