8)外注化の促進
今まで依頼したことのない外部のライターさんなどを積極的に起用し、記事のリフレッシュ化に務めた。そもそも編集部はこれまで外注をほとんどしておらず、「内制主義」の文化があった。レシピなど独特の書き方が求められる記事は自分が書いた方が早いと編集者は考えるが、そのようにノウハウが守られていく一方で、記事の書き方がマンネリ化するという現状もある。
記事を新鮮にするという意味でも、編集部員の残業を減らすというマネジメント視点からでも、外注は必須。自分のやり方を言語化するという意味でも、より促進していきたいと考えている。
9)新規ジャンルの連載を開始
私はもともとコミックエッセイの編集者なので、人気作家のコンテンツを多数投入。実用系、芸能系の連載も開始し、読者層の拡大を狙った。
10)「正しさ」よりも「楽しさ」を追求
以前はどちらかと言えば真面目で教科書的な記事が多く見られたが、「楽しさ」を追求するようオーダーした。これは私が、「ひとは楽しい方についてくる」という持論があるから。
結果、編集部の雰囲気は明るくなり、チャレンジを怖れない体質に生まれ変わった。もともと持ち得ていた、メンバーの実直で誠実な仕事ぶりが実を結び、3号連続完売という快挙を成し遂げたのだった。
今、レシピはウェブでも見られるし、料理動画も広がっている。けれど、私たちの雑誌に載っているレシピは、全部プロの料理家が読者のために、「味はそのまま、手順は簡単に」間引いて考えてくれているものだ。その2つの魅力に気づいてからは、ウェブのレシピに対する競合意識は持たなくなった。料理動画にインスピレーションを得て、詳しいレシピを調べた先に、レタスのレシピがあればいいと思っている。
編集部の合言葉の一つは、「紙でできることをやろう」だ。今や紙がネットを追い抜くことは難しいだろう。けれど、紙にしかできないことは何かと考えたときに、まだまだやれることは見つかる。人気となった「ピーナッツのお絵かきブック」は、まさにそのようにして生まれたものだ。実際、誌面に描いてみよう!という紙ならではの特性を活かした企画だ。
よく、「どうしたらヒットを作れますか?」と聞かれるけれど、ヒットを作るのに一番大事なのは、まず「ヒットを作る」と決め、それに沿った行動することだと思う。右肩下がりの出版業界の状況を嘆いているだけではヒットを生むのは難しい。
書籍と違い、雑誌はチーム戦だ。個人の強みと特長を活かしつつ、フォローしあいながら、共通の目的に向かって編集部という「チーム」でこれからも前進していく。
創刊30年目にして再生した『レタスクラブ』が、次はどんなチャレンジをしていくのか、私自身想像がつかず、ワクワクしている。