<Chapter.3>法則を応用してみる
ねずみ捕りの法則を、「コンテンツの違法DL問題」に応用すると?
さて最後は、これまで述べてきた法則(っぽいもの)が、他の社会問題にも応用できそうか検証してみたいと思います。
(あくまで空想実験ですので、お手柔らかにお願いします…)
応用できそうだな、と思ったのは、音楽や動画、漫画など様々なコンテンツの違法DL(ダウンロード)問題。
本来であればお金を払わなければ聴けない・見られないはずの音楽や動画、漫画を違法にアップロードする人や、それをダウンロードする人は後を絶ちません。
これがCD・DVDやコミックの売上低迷につながり、業界を苦しめているのは周知の通り。
では、この問題に「ねずみ捕りの法則」を応用してみると、どのような取り組みが考えられるでしょうか?
たとえば、こうです。
①ある日突如、これまで著作権保護により聴けなかった・見られなかったはずの著名なアーティストの楽曲や有名映画、お笑い動画に漫画などのコンテンツが、複数アップロードされたサイトが登場。つまり違法ユーザーを集めるために、一定量のエサをまきます。
②そして後日、「発売/公開前」と称されていたはずの音楽や映画、漫画までもが、このサイトにアップロードされる。
③それをダウンロードしてしまったが最後、その経歴を証拠として(擬似的な)厳重注意や告発を受けてしまう。
もう少し踏み込んで言えば、
たとえば③でダウンロードした音源・動画・漫画の中で、アーティストや出演俳優、作家などから直接、注意の声や残念がる様子を伝えてもらう。
あるいは、仕掛けは①に留めて、あとはリターゲティングバナーなどで「先ほどの行為、見られていますよ?」とネット上で追いかけ回すなど、違法ユーザーの牽制につながる様々な手法が考えられるかもしれません。
このような取り組みは、実施できたとしても実際は、すぐにネタバレ情報が出回ってしまうと思います。
ただ、このようなトラップがあるかもしれない、と違法ユーザーが認識することで、「気をつけないと…」という危機意識や抑止力の醸成にはつながるように感じました。
上記はあくまで、法則を応用するとどのようなアイデアが考えうるか?を示す一例にすぎません。
ですが、「ねずみ捕りの法則」を使えば、とある問題の突破口になるかもしれないぞ、と、その可能性の一端を感じ取っていただければ幸いです。
次回は、カンヌライオンズ2017を受賞した最新の事例を紐解きながら、さらに日本の根深い問題に手を突っ込んでみようと思っています。