花王×パナソニック対談:後編「世界一見る目の厳しい消費者が選ぶ広告賞」

広告賞でクリエイターの腕を磨く

—広告賞について伺います。国内外、様々な広告賞があり、両社とも多く受賞していますが、広告主としてどのような向き合い方をされていますか。

楳谷:私自身は賞を獲ることにはほとんど重きを置いていません。重要なのは販売にどう貢献するかであり、そのベースとしてブランドのイメージをしっかり上げておく。この2つが目的であって、広告賞はあくまで派生的なものです。いわゆる「賞狙い」で広告をつくることもありません。私の部署は、家電やAVなど国内向け商品のコミュニケーションの担当だから、ということもあると思います。

もちろん、外部の目で評価いただくことで励みになることも確かです。今年のフジサンケイグループ広告大賞では「ふだんプレミアム」で受賞しましたが、先ほど紹介したような動画やSNSを重視した新しい試みをしていることから応募しました。また、JAA広告賞の雑誌広告部門でも「ふだんプレミアム」がメダリストを受賞しました。

カンヌライオンズ2016デザイン部門でグランプリに選ばれた「Life is electric」(パナソニック)

井上:当社も賞のための広告をつくることはありませんが、クリエイターの腕を磨く場と位置づけています。

通常の広告は、事業課題やブランド課題があり、それを解決するために事業部が我々の部門に対しオリエンテーションを実施して、それに沿った広告を制作します。一方、広告賞に応募するものに関しては、クリエイター自身が課題を見つけ、自分自身にオリエンテーションをして企画制作・プレゼンテーションをしたものが多いです。クリエイターに広告制作の一連の流れを経験させる意味でやっているところもありますね。

2017年の「第70回広告電通賞」で雑誌第1部門最優秀賞に選ばれた「クイックルワイパーハンディ」の広告(花王)

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