コピーを書くためには商品を知ること、でも愛さないことが必要

「恋は盲目、ゆえに商品を愛してはならない」

商品を知ることは必須ですが、なぜ愛してはならないのか?

実務を通して理解したことがあります。

新聞に折り込まれている新築マンションのチラシ、そこにコピーを書くのが私の主な仕事です。近ごろ熱い、「マンションポエム」と言えばわかる方も多いかもしれません(マンションポエムについては次回、話すことになると思うので、ぜひ予習しておいてください)。

クライアントは皆、自分たちが生み出した商品(マンション)をわが子のように愛しています。モデルルームに行けば、その家の良さを余すことなく教えてくれます。素敵なことです。

ただ愛しすぎるがゆえに、購入検討者の視点を見失ってしまう方も時々います。

マンションは何千万、何億という大きな買い物。「エントランスが立派だ」というだけで買う人はいません。周辺環境や間取り、設備、価格、総合的に判断する人がほとんど。広告では、クライアントの意見を聞きながらも、あくまで第三者の視点で何がメリットなのかを伝えなければいけません。

興味を持ちながら、あくまでも冷静に。そのために私たちは、クライアントと購入検討者の間で商品と向かい合わなければならないのです。

理想はクライアント、消費者、そしてクリエイター。つまり課題は解決できているか、消費者に「素敵」と思ってもらえるか、面白いものができたか。それぞれの視点から納得のいくものになっていることなのですが、実際は難しいものです。

いよいよ目前に迫った「宣伝会議賞」でも、同じことが言えるはず。

課題の商品やサービスに触れて四六時中考え続けていると、ものすごく偏った内容になりませんか?私はなります。

そんな時、少し商品と距離を置いて色んな視点から考えてみてください。言葉としての面白さ以上に、広告として驚きのあるものに出あえることを、宣伝会議賞のいちファンとして楽しみにしています。

平山瑞帆(ひらやま みずほ)

2013年 インサイト・ディレクション入社。日本大学芸術学部 文芸学科を卒業後、コピーライターとして不動産広告の企画からライティングまで幅広く担当。コピーライター養成講座 基礎コース、コピーライター養成講座 ボディコピー特訓コース修了。第54回宣伝会議賞 グランプリ受賞。趣味は、粘土での食品サンプル制作。

 


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宣伝会議 コピーライター養成講座事務局
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