デバイスのためのデザインから、生活空間のためのデザインへ
「デバイスのためのデザインから、生活空間のためのデザインへ」というテーマは、「レポート内では、『車を取り巻く新世界』『塀のない家』『リアルとデジタルの融合』として語られている」と浦辺氏。「例えばわかりやすいのは自動車の変化。自動走行技術が普及し、IoTの進化ですべての自動車がネットでつながれば、人は自動車で移動する際に運転することから解放される。つまりは自動車で移動する時間、空間内でいろんなことができるようになるということ。その移動中の空間でどんな体験を提供すべきか。まずは、移動を楽しむための動画や音楽のサービスが考えられる」。
さらに、「自動車メーカー以外にも、ビジネスの可能性は広がる。それが『生活空間のためのデザイン』という言葉で表現されている世界」と続ける。車という空間がサービス提供の場、つまりメディアになり、企業と生活者をつなぐ新しい接点になる。例えば、金融機関にとっては、車が金融商品の相談場所という新しい顧客接点になりうる。車が新しいメディアになり、様々なサービスにつながっていくということだ」。
企業と顧客の関わり方の変化
「流動化する顧客の期待値はますます高まり、あらゆる顧客接点でスピーディかつ適切な対応が求められている。デザイン思考のマインドで、従来の縦割り組織での対応ではなく、一人ひとりの従業員が顧客視点に立って活動できる、人を中心とした組織設計が必要とされている」と高山氏。
浦辺氏も「従業員一人ひとりが顧客視点を持てるような意識改革が必要。すでに縦割り組織を廃止、組織自体を革新している企業も出ている」と続ける。
信頼関係の築き方の進化
一方で、顧客のためにとつくられたサービスが、その意図に反して予期せぬ副作用を生んでしまうことがあるのも、現在の環境の厳しさ。「例えば、ソーシャルメディアによる情報漏洩事故や、良かれと思って投稿した画像や動画等が思わぬ事故を引き起こす例などもある。プライバシーやセキュリティー、安全性に対する配慮など、企業は新たなサービスを提供する際に、社会にどういった影響(ソーシャルエクスペリエンス)を与えるのかも考える必要がある。その視点があってこそ、企業と生活者間の信頼関係は構築できる」と高山氏は説明する。
新たなテクノロジーがもたらす変化は、企業にリスクもそしてチャンスももたらす。変化をチャンスに変え、顧客視点の変革を実現するための最新トレンドがまとめられた「FJORD TRENDS 2017」の詳細レポートを無料で公開している。
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