次は、マス系を中心にやってきたと思われるクリエイターの方たちからです。
Q:CMの企画は得意ですが、Webのことはちょっとよくわかりません。ただ、お得意にはWebの企画も提案してほしいと言われるので、チームに詳しい若手を入れて彼らに任せています。
小霜:つまり、ポイントはWebの「仕組み」に詳しいかどうかだと考えてらっしゃるわけですよね。自分はテレビCMの企画はできるがWeb広告はその仕組みに詳しい人間が企画した方が効果的なものができるだろうと。
間違いです。それが正しいなら運用コンサルタントやメディアプランナーがクリエイティブをやるべきだ、という話になります。あなたが必要最小限の仕組みを知ってWebの企画もすべきだと思います。その方が良い企画が生まれるでしょう。
Q:ちょっとしたことでWeb動画が叩かれ炎上する社会って、嘆かわしいと感じませんか?
小霜:ネットが普及したことで、人々には小さく異質なコミュニティでなく、大きく均質のコミュニティに参加しているという意識が生じていると思います。それによって同調圧力が高まり、不寛容な社会になって来ている気がします。その現状が嘆かわしいものであったとしても、広告活動の目的が商品の販売促進であるならば、嘆かわしい世の中に受け容れられる広告作りが自分の仕事であると思っています。
Q:流行のバズワードに左右される必要はないと思うので、気にしていません。なぜなら、人間の本質はずっと変わらないと思うから。
小霜:それはそれで正解と思います。道頓堀にいろんな看板が並んでますけど、これ「Owned Media」ですよね。それがサイバー空間に作られたものが「自社サイト」。機能は違うけど自前でできる範囲で何とか客引きしようという努力は昔からやって来たことです。
僕がマスやWeb、その他コンタクトポイントを別個じゃなくつなげて考えようと提言しているのは根っこは同じものだから、ということもあります。ただ、人間には変わらない部分(社会学でHuman Universalsと呼びます)もあれば、生活環境の変化に影響を受ける部分も確かにあって、そこに眼を向けないわけにもいきません。